「デイズ/eK」発売1年、明暗分かれた通信簿 2車で月販平均1万6000台は「合格」だが……

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三菱は、世界初の量産電気自動車(EV)である「i‐MiEV」を発売したころから、同社の主力を電動車両とSUVの2本柱とする戦略を採っている。いまや三菱自動車といえば、登録車では「アウトランダーPHEV」や「エクリプスクロス」「RVR」「デリカD:5」といったSUVがまず連想されるのではないか。

三菱「ミラージュ」は1.2Lエンジンを搭載するコンパクトカー(写真:三菱自動車)

逆に「ミラージュ」や「デリカD:2」といった小型乗用車は思い出しにくいかもしれない。そのことが、新型eKワゴンとeKクロスの販売比率に表れているといえそうだ。販売の6割を占めるeKクロスと同等の販売台数をもしeKワゴンでも実現できていれば、月販計画台数の4000台を超えられると皮算用することができる。

とはいえ、「もし~だったら」「もし~ならば」の話をしても仕方ない。逆にいえば三菱の2本柱で勝負する自動車メーカーとしての個性の持たせ方は、軽自動車販売においても成果を残したといえる。次は、さらなる電動化の強化であり、電動車両の車種増強であろう。

現時点では「合格」を与えたい

デイズ/ekワゴンの2車を合わせると月販1万6760台となり、目標台数のおよそ4割増しとなる。両車を生産する三菱の工場の稼働は良好であるはずだ。

「デイズ/ekワゴン」は、第40回 2019 – 2020 日本カー・オブ・ザ・イヤーで「スモールモビリティ部門賞」を受賞している(写真:日産自動車)

自動車メーカーとして、日産は車両開発の成果と販売の面で、三菱は生産の面でともに成功している。この状況を維持しながらさらに販売を増強できるならば、現時点でのデイズ/ekワゴンの成果は「合格」と言えるだろう。

さらにこの3月、軽自動車のラインナップを強化するスーパーハイトワゴンの日産「ルークス」と三菱「eKスペース/eKクロススペース」が発売された。いよいよ、王者ホンダN‐BOXとの対決が始まるのだ。次の1年後の成果が再び注目される。

御堀 直嗣 モータージャーナリスト

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みほり なおつぐ / Naotsugu Mihori

1955年、東京都生まれ。玉川大学工学部卒業。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。趣味は、読書と、週1回の乗馬。

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