五輪延期で不透明化する「ポスト安倍」レース

21年10月任期満了の衆院解散時期も流動的に

ただ、安倍首相にとって開催延期が今後の政権運営を大きく左右することになる。安倍首相の自民党総裁としての任期は2021年9月末まで。しかも、現在の衆院議員の任期満了はその直後となる2021年10月21日だ。このため、「いつまで延期されるかで、解散時期やポスト安倍レースの構図も変わる」(自民長老)ことは間違いない。

今回のコロナ大流行の収束は「誰にも見通せない」(専門家会議有力メンバー)だけに、4月中旬までに出されるIOCの決断も「見切り発車とならざるをえない」(JOC関係者)とみられている。

年内開催なら首相に複数の選択肢

延期3案のうち、年内開催案は政府や組織委、東京都にとって「いちばん打撃が少ない延期」(組織委関係者)だ。もちろん、年内といっても9月から10月の初秋から、11月から12月にかけての晩秋までの幅がある。ただ、政治日程からみれば、解散時期も含め「首相は複数の選択肢を手にする」(自民幹部)ことになる。

安倍首相にとって、2021年9月の任期切れに向けた政権運営の最大の武器は衆院解散だ。仮に五輪を年内に開催するとなれば、安倍首相にとって五輪閉幕直後の年末から2021年夏にかけて解散を断行するチャンスが生まれることになる。コロナの収束に成功し、五輪も開催して経済もV字回復する中での解散となれば自民党の勝利も見込め、それによって安倍4選論が急浮上する可能性もある。

さらに、これまで取り沙汰されていた「五輪花道論」という五輪閉幕直後の勇退も選択肢となり、状況次第では意中の後継候補とされる岸田文雄政調会長への事実上の禅譲も可能となる。コロナショックで経済が低迷する中、政治空白につながる総裁選実施を回避する大義名分もある。

これに対し、1年延期の場合は状況が大きく変わる。世界的なコロナの収束が遅れれば、安倍首相にとって五輪前の解散権行使は難しい。その場合、五輪開催直後の安倍首相による解散断行か、自民総裁選を実施したうえでの新総裁(首相)による任期満了選挙が選択肢となる。

開催日程がほぼ1年延期となれば、パラリンピックの閉幕は9月初め。となれば、閉幕直後に解散するには、9月中下旬に予定される総裁選の延期が必要になる。ただ、その場合でも本格総裁選とせざるをえず、「反安倍」の立場を維持して国民的人気が高い石破茂元幹事長の当選の可能性も広がる。

もちろん、総裁選に先立つ衆院選で自民勝利となれば安倍首相の続投論が浮上する可能性があるが、事前に総裁公選規程を改正していない限り続投は困難だ。

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