ロサンゼルス「コロナで外出禁止」の異常事態 何もしなければ「2550万人が感染」の可能性も

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この状況でむしろ商売が忙しくなったのは、容易に想像できるとおり、スーパーマーケット、Amazon、Netflixをはじめとするストリーミングサービスだ。

スーパーの店員は、レジや商品補充作業が普段よりずっと忙しいだけでなく、多くの人に接する危険にさらされることから、ほとんどの店は、この間、全員の時給を2ドルアップした。

Amazonも、同様にスタッフの時給を2ドル上げ、さらに10万人を新たに雇用すると発表している。その中に含まれる「Amazon Flex」という新しいタイプの配達業務は、コロナで一時的に仕事を失った人たちを引きつけそうだ。

応募資格は21歳以上、運転免許とセダン以上の大きさの車を所有していること。専用アプリを使ったユニークなシステムで、Amazonが「2時間でこことここに配達をしてください。ギャラはこの金額です」と、その時間で配達できる現実的な量を提示し、登録している配達人は、その仕事を取るか、取らないかを自分で選択できる。

受取人がくれるチップは全額自分のものだ。給料支払日が週に2回あるというのも、今の状況ではありがたいだろう。

Netflixは110億円の基金を設立

一方で、映画館が完全にクローズになったことから利用者増が想像されるNetflixは、映画とテレビの関係者のために、1億ドル(約110億円)の基金を設立したと発表した。

最大優先はNetflixのオリジナルコンテンツの制作に関わっていた中でも底辺の人たちとのこと。ほかに、映画俳優組合(SAG-AFTRA)などが作る災害基金のいくつかにも、それぞれ100万ドルずつを寄付する。

実際に誰がいくらもらえるのかは今のところ定かでなく、この状況がどこまで長引くかによっては、ただの一時しのぎにしかならないかもしれない。それでも、いや、だからこそ、救いの手は多ければ多いほどいいのだ。

「禁止令」発動からまだ数日。現段階の「最終日」である来月19日まで、この街の様子は、どう変わり続けるのだろうか。

猿渡 由紀 L.A.在住映画ジャーナリスト

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さるわたり ゆき / Yuki Saruwatari

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒業。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場リポート記事、ハリウッド事情のコラムを、『シュプール』『ハーパース バザー日本版』『バイラ』『週刊SPA!』『Movie ぴあ』『キネマ旬報』のほか、雑誌や新聞、Yahoo、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。

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