鉄道マニアの「マナー違反」、昔はどうだった?

線路立ち入りで緊急停止続く、置き石事件も

例えば、私の手元にある鉄道誌『鉄道ジャーナル』1968年8月号(鉄道ジャーナル社)の読者投稿欄には、「最近、SLの撮影に行くと必ずといってよいほど仲間をみつける。つくづくマニアが増えたと思う。と同時に、ファンのマナーもだいぶ乱れてきているようだ」という投稿がある。この投稿が公表された時点の「最近」とは、今から半世紀以上も前のことだ。

それから2カ月後の10月号でも、鉄道マニアのルール・マナーに関する記事が複数掲載されている。「鉄道写真を撮ろう」と題した記事には「草軽電鉄が廃線の直前、地元の人たちから『この火山灰地では皆さんが考えている3分の1の食料もとれません』と荒らされた野菜畑を指さしていたのを忘れられない」と記されていた。

半世紀前に田畑を荒らしたマニア

草軽電鉄は軽井沢と草津温泉を結んでいた鉄道で、1962年までに全線が廃止された。つまり1960年代の初頭には、田畑に無断で立ち入って列車を撮影していた人が多かったことをうかがわせる。

草軽電鉄の廃止後、消えつつあった蒸気機関車を撮影したり、走行音を録音したりする鉄道マニアが増えた。いわゆる「SLブーム」(1965~1975年頃)だ。再び『鉄道ジャーナル』1968年10月号を読んでみると、御殿場線の蒸気機関車引退運転では「乗務員の制止も聞かずに大勢のファンが録音機を機関車にくくりつけようとした、という話も聞きました」という編集部のコメントが掲載されていた。

動態保存を目的としたSL列車やイベント列車など、希少性の高い列車の撮影にまつわるルール・マナー違反も昔からよく聞く。1994年、八高線でSL列車が運転されたときは「列車が接近しても線路の近くから離れない一部ファンがいたため、列車は計12、13カ所で緊急停止(中略)終点の高崎着は11分の遅れとなった」という(1994年5月30日付毎日新聞群馬版)。

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