あのポルシェが「電気自動車」に乗り出す意味 2020年中に日本国内でEV「タイカン」を発売へ

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デザイン面ではむしろ自由度が増す。ポルシェジャパンのマーケティング部プロダクトマネージャー、アレキサンダー・クワース氏は「内燃エンジンのスペースが不要なので、ボンネットをさらに低く設置できた。メリハリのある高低差で一層ポルシェのクラシックモデルを想起させるデザインになった」と話す。

ポルシェジャパンマーケティング部プロダクトマネージャーのアレキサンダー・クワース氏と新設する充電設備。急速充電が可能な仕様(記者撮影)

一方、ネックとなるのが音だ。スポーツカーファンの中にはスポーツカー特有のエンジン音を好む人も少なくない。EVの場合、エンジン音がなく静かだ。そこでポルシェは、音を作ってしまうという決断をした。

具体的には音響装置を使って走行音を作り出すという。「ポルシェエレクトリック スポーツサウンド」と呼ばれるこの機能は車内外でエンジン音とは異なる独自の走行音を作り出すことができる。

キルシュ社長は「EVの正しい音については議論を尽くした。GT3(ポルシェの旗艦エンジン)のコピーではない。パワフルなスポーツカーの音の新しい解釈だと思う」と、音への自信を示す。

スポーツカーでもエコといえる

スポーツカーといえそうなタイカンだが、一方でエコかどうかについてはどうか。現状のヨーロッパの規制では、車の中でのエネルギー消費や二酸化炭素の排出量に注目するTank to Wheel(燃料タンクから車輪まで、以下T2W)方式で排出量を計算する。それに基づけば、ヨーロッパでは電気しか使わないEVは、二酸化炭素の排出量がゼロとなる。

ただT2Wの場合、発電時のエネルギー消費や排出を考慮していない。そこで日本が2030年の燃費規制から導入を予定しているのがWell to Wheel(油井から車輪まで、以下W2W)だ。W2Wは、通常のT2W方式の排出量に加え、そもそもどのように燃料が消費され、エネルギーが作られたのかも含める。

では、W2Wでのタイカンターボの燃費はどうなるのか。ヨーロッパで公表されているタイカンの航続距離を基に計算してみたい。少々乱暴になるものの、調査会社のIHSマークイットの波田野通アナリストが作成した日本国内でのW2Wでの燃費計算式(6750÷電費【Wh/km】=ガソリン燃費【km/L】)で試算すると、タイカンの燃費は32.6km/Lとなる。

この数字は、トヨタの「カローラスポーツ」のHVモデル(30km/L)以上の燃費になる。他方、日産のEV「リーフ」は43.5km/Lであり、EVの中ではやや見劣りするともいえる。とはいえ、タイカンはスポーツカーというカテゴリーということもあり、比較するのが酷なのも事実だ。スポーツカーでこの水準の達成は十分、エコといえるだろう。

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