希代の名経営者ほど「後継者」が決まらない理由

日本電産・ファストリ・ソフトバンクの悩み

 次に、柳井氏。

早稲田大学政治経済学部卒で、卒業後はジャスコ(現在のイオンリテール)に入社したが、9カ月で退社。故郷の山口県に帰省して父が設立した紳士服小売りの小郡商事に入社。小郡商事で扱っていた紳士服が、洋服の青山やAOKI等の郊外型紳士服店の影響を受けるようになったことから、日常的なカジュアル衣料の販売店を思いつき、ユニクロという業態を始めた。その後の急成長は、皆さんもご存じの通りである。

柳井氏は自分がオールマイティーであることをよく知っており、自分の後継者はチームでやる人じゃないとダメだと表向きは言っている。

その一方で、「支持されるリーダーというのは、好き嫌いじゃない。この人のいうことなら聞いてもいいと思える人。そのためには、(部下に)具体的で的確な指示が出せなくてはいけませんね。経営はぼんやりした概念や方針じゃ回りません。具体性、個別性がないと経営はうまくいかない」(日経電子版「出世ナビ私のリーダー論」)で言っている。

やはり柳井氏も自分と同じようなオールマイティーで強力な人を求めている。

スーパーマン級の人材を求める孫氏

最後に、孫氏。

孫氏は、高校入学後、渡米を決意し、サンフランシスコの高校に入り、カレッジを経て、カリフォルニア大学バークレー校を卒業。学生時代に、シャープに自ら開発した自動翻訳機を売り込んで1億円の資金を手にした。1980年に日本に戻ると、コンピューター卸売り業を開始し、アメリカのヤフーへの投資で巨額の利益を手にし、合弁でヤフー(日本法人)を設立し大成功を収めた。

2004年には、日本テレコムを買収し、通信事業への布石を打ち、2006年にはボーダフォンの携帯電話事業を買収、今日のソフトバンクグループを作り上げた。

孫氏については、『志高く 孫正義正伝』(実業之日本社文庫)という本にあるように、壮大なビジョンをかかげ、それを達成するために全力を傾ける人というイメージが出来上がっている。顔も柔和であり、優しそうな感じを受けるが、孫氏の壮大なビジョンを実現していくためには、スーパーマン級の理解力、洞察力、実行力が求められているはずだ。

そして、それができなければ、アローラ氏のようにすぐに愛想をつかされる。

孫氏も自分と同じような壮大なビジョンを持ち、決断力に富み、実行力も兼ね備えている人を求めている。

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