楽天の「送料改革」、一部断念でもなお続く混沌 公取委には「むしろ競争を阻害」の真っ向主張
もうひとつ気になるのは、東京地裁や公取委の動向だ。今回の楽天の方針転換により、公取委が問題視していた事態の一部は解消されたかもしれないが、時期を置きつつもいずれは送料込みラインの全店導入を目指すとなれば、「問題なし」と言い切れない部分も出てきそうだ。
楽天は6日の会見で、送料込みラインに関する新方針とは別に、公取委の措置に対し楽天が独自に収集した慶応義塾大学大学院法務研究科の石岡克俊教授の意見書を提示した。
いわく、「『本件申し立てはかなり特異な内容を有している。施策が未だ実施されていない、事前の介入は努めて慎重であるべきで、安易な介入は企業行為を制約し、起業家精神を委縮させることにつながる』という意見をいただいている」(楽天コマースカンパニーの野原彰人COO)。
アマゾンとの競争を意識する訴え
さらには、「『楽天が他の事業者、つまり競合先との競争において重要施策と位置付けるものの実施を阻害するとなれば、むしろ事業者間の公正な競争秩序に重大な悪影響を与えるおそれすらある』との指摘もされている」(野原氏)と、アメリカのアマゾンなど海外勢とのシェア争いを意識させる訴えもあった。
楽天は石岡教授以外の学識者にも意見書を募り、東京地裁に順次提出していく方針だ。
中小零細も含む約5万の出店者と利害を調整しつつ、アマゾンをはじめとする日本で攻勢を強めるテックジャイアントとも渡り合わなければならない――。数少ない「国産プラットフォーマー」といえる楽天ならではの悩みは、まだまだ尽きることがなさそうだ。
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