楽天の「送料改革」、一部断念でもなお続く混沌 公取委には「むしろ競争を阻害」の真っ向主張
実際、出店者側の反応は“まだら模様”だ。楽天ユニオンのように署名活動などを通じて施策の見直しを求める出店者らもいれば、施策実施に前向きに反応する出店者もいる。
3月5日には、楽天ユニオンとは別の任意団体・楽天市場出店者 友の会が設立準備委員会発足の記者会見を実施。送料改革に対しては、楽天市場の魅力を底上げする施策であるため基本的に賛成の立場であり、「楽天ユニオンの主張が出店者の総意というわけではない」(発起人メンバーの山田岳人氏)と訴えた。
団体の設立背景について山田氏は、楽天幹部と出店者とのコミュニケーションを促進したい考えを語った。「楽天とは(楽天幹部が47都道府県を回るタウンミーティングなどで)これまでもコミュニケーションを取ってきたが、両者が腹を割って話してきたかといえば、そうでない部分もあった。出店者側もそうしようとしてこなかったと思う」(同)。
成功店ばかりの意見を集約?
友の会の会見では、2月28日に楽天の三木谷社長とオンラインで意見交換の場を持ったことも明かされた。新型コロナウイルスの影響が深刻で送料改革への3月18日の一斉対応は難しいこと、送料改革で不利益を被る出店者へのサポート体制を充実させてほしいことなどを進言したという。今回楽天が発表した全店導入延期、安心サポートプログラム設置といった内容は、この友の会の進言に符合する部分も大きい。
これにて楽天と出店者との対話の糸口がつかめたかにも見えるが、話はそう単純でもない。友の会の構成店に楽天の表彰する「ショップ・オブ・ザ・イヤー」の受賞店や出店者同士のノウハウ共有研修サービス「楽天ネーションズ」の講師となっている店が多いことから、「成功店の意見ばかりが重視され、弱小店の事情は今後も無視され続けるのではないか」(ある出店者)との懸念も聞かれる。
この懸念が払拭されていくのか、あるいはさらに深まっていくのか。今後明らかになっていく安心サポートプログラムの中身などがカギを握りそうだ。
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