楽天の「送料改革」、一部断念でもなお続く混沌 公取委には「むしろ競争を阻害」の真っ向主張

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一部出店者の反発が強まる中で、楽天が方針転換や改善策をまったく示してこなかったわけではない。楽天は当初、送料改革は日本国内の全地域一律の購入金額で行う施策としていたものの、2019年10月には配送先が沖縄や離島の注文について送料込みとなる購入額を9800円にする方針に変更している。

公取委による立ち入り検査の直後となった2月13日の決算説明会では、それまで「送料無料ライン」としていた施策の呼称を「送料込みライン」に変更し、出店者側で利益が目減りしないよう売り値を調整してかまわないという点を強調した。

加えて、書籍、雑誌といった再販売価格維持制度が適用され売り値を調整できない商品は施策の対象外とすること、この施策開始をきっかけに楽天市場から退店する場合は任意の移転先(他モールや自社ECサイト)を楽天のサイト上で告知できるようにすることなども盛り込んだ。

3月6日の会見で新方針を発表した楽天CEO戦略・イノベーション室の川島辰吾氏(写真:楽天)

こうした変更を加えながらも頑なに目指してきた「3月18日の全店導入」だったが、冒頭のとおり、断念するに至った。3月6日の会見では、新型コロナウイルスの影響が大きかったとする楽天側に対し、記者から「公取委の緊急停止命令申し立ては判断に影響したか」という質問が繰り返された。だが会社側は、「申し立てがあったことは厳粛かつ真摯に受け止め、しっかり対応していきたい」(川島氏)と語るにとどまり、明言を避けた。

全店導入をあきらめたわけではない

思惑通りのスタートを切ることができなかった楽天の送料改革だが、全店導入を完全にあきらめたわけではなさそうだ。楽天は6日に出した出店者向け通知で、「店舗への理解促進や準備のサポートを続け、(中略)結果として実質的に全店舗(で送料込みライン統一)となることもありえると考えている」との見解を示している。

また、送料改革に対応した店舗に対する優遇措置や販促支援も検討していく。「(今回の送料改革に)高い期待を持ってくれている出店者もいる。すでに準備いただいた店の気持ちはくみ取りたい」(川島氏)。

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