外国人の「不法就労」が今でもやまない深刻実態 労働者を食い物にする悪質ブローカーも存在
母語を日本語としない人々の日本語力テストを行う「日本語NAT-TEST」のHPには、「大変残念ながら、日本語NAT-TESTの成績証明書類の偽造が多く報告されております」という記載がある。
つまり、在留資格の目安となる日本語試験の成績ですら、偽造が相次いでいることを検定機関が注意喚起しているのだ。これは、非合法なはずの不法就労がビジネス化していることも意味する。
そもそも、労働ビザで認められていない不法就労と呼ばれているケースは、特定活動や技能実習生としてのビザを失効したにもかかわらず不法に収入を得ていることが多い。
昨今メディアで取り上げられる機会が増えたのは、元技術実習生の失踪といったテーマが主だが、群馬県で取材を進めたところ、「特定活動者の不法就労も目立つ」という声はほうぼうから聞こえてきた。
あなたはポリスか? 問いかけには応じず
大泉町にあるネパール料理店の従業員に日本語で話しかけたところ、こちらの会話はほとんど通じなかった。だが、ビザの保有を英語で尋ねると「あなたはポリスか?」と過剰な反応を見せ、こちらの呼びかけには応じなかった。
太田市に住むベトナム人男性であるダンさん(20代・仮名)は、匿名を条件に“偽装勧誘”の手口を明かしてくれた。ダンさんが訪日したのは2018年。ベトナム国内のブローカーを通して留学生ビザで日本へと渡っている。都内の日本語学校に通っていたが、高額な授業料と家賃を賄うためにアルバイトに従事したことで、学業から遠のき太田市へ移った。
「日本語能力証明書、在留カードの入手は決して難しくないです。それはもちろん“ニセモノ”ですが。本来であれば年収や貯金額、学歴や日本語レベルといった非常に高いハードルがあるんですが、そういった資格をすべて偽造する業者が存在しています。インターネット上でも簡単に見つかるし、ベトナム国内にも日本にもさまざまな業者がいます。友人や知人を通してブローカーのほうから接触してくるケースもある。
だから、留学ビザで日本に来て、不法で働いているベトナム人もいます。彼らはもちろん正式な日本語検定を受けておらず、読み書きはおろか、日常会話もほとんどできないということもありますよ。だから、1つの職場で長く続かない。多くのベトナム人は仕事を掛け持ちしています」
この地域に限った話ではないが、ベトナム人の技術実習生の伸びは顕著だ。2018年6月時点で13万4139人を数え、この数字は8年間で約17倍まで跳ね上がっている。受け入れ体制が十分でない状態でこれだけの数が急増すれば、自然と問題も生じやすい。
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