乏しい楽観ムード、日経平均終値1万4411円 一時1万4500円回復も、 投資家は慎重
[東京 18日 ロイター] -ウクライナ情勢をめぐる懸念がいったん後退し、日本株やドル/円は反発しているが、ショートカバーは控えめで、伸び悩んでいる。商いも薄く、楽観ムード回復には至っていない。欧米とロシアの対立が全面的に解消したわけではなく、中国の景気動向なども依然警戒されている。
国内では、消費増税への懸念や緩和期待後退などもあり、投資家は慎重姿勢を崩していない。
ひとまず安心感
クリミアでの住民投票が混乱もなく無事通過したほか、欧米の経済制裁が個人を対象にした渡航禁止や資産凍結にとどまったことで、マーケットにはひとまず安ど感が広がった。日経平均<.N225>は5日ぶりに反発し、一時上昇幅は200円を超え、節目の1万4500円を回復する場面もあった。ドル/円も101円台後半まで切り返した。
日本時間18日午後8時からのロシアのプーチン大統領の演説には警戒感が残っているものの、「対立がエスカレートすれば、欧米とロシア双方にダメージが及ぶ。目先的にはこれ以上、情勢は悪化しないだろう」(外資系証券) との見方からリスク資産の買い戻しが強まった。
ロシアの国内総生産(GDP)の25%は輸出で、輸出の70%が原油などのエネルギー。ただでさえ「危機的状況」(ロシア経済発展省のベリヤコフ次官、17日)となっているロシア経済を疲弊させるような事態はプーチン大統領も避けるはずとの読みが市場にはある。ロシアからのエネルギー輸入に頼る欧州も、強い制裁には出ないとみている。
岡三証券・日本株式戦略グループ長の石黒英之氏は「ロシアは輸出環境がぜい弱で、輸出の半分を占める欧州向けをストップさせられたら、国が破たんする可能性が出てくる。欧米側はロシアの出方を見つつ制裁を強化していくとみられ、当面はお互いの最後のカードをちらつかせながら、にらみ合いが続くだろう」との見方を示す。
乏しい楽観ムード
ただ、マーケットに楽観ムードは乏しい。東証が発表している空売り比率は前日に36.17%と過去最高を記録したにもかかわらずショートカバーは限定的で、日経平均は終値で1万4500円を割り込んだ。東証1部売買代金(株式)は、1兆6765億円と今年2番目の低水準。ドル/円もウクライナ情勢が緊迫感を増す前の102円台を回復することができなかった。
ウクライナが小康状態に入ったとしても、「一件落着」となるか予断を許さず、投資家を様子見姿勢にさせている。クリミアを実際にロシアに編入するとなれば、欧米から追加の制裁措置が科される可能性がある。ロシア側が応酬すれば、市場が懸念する制裁と応酬のエスカレートにつながる恐れが出てくる。
さらに中国の景気減速懸念など海外のリスク要因は数多い。米経済が寒波の影響を除いても堅調であるかを確かめられるのは、早くとも3月のデータが出てくる4月に入ってからだ。「外部環境への漠然とした不安が強く、昨年、利益を出した投資家の多くは、ここで無理をして勝負しなくてもいいと考えているようだ」(国内投信)という。
日本では、消費増税が来月に迫っているほか、アベノミクスや日銀の追加緩和に対する期待感が後退していることも手控え要因になっている。
アストマックス投信投資顧問・証券運用部シニアファンドマネージャーの山田拓也氏は「国内企業が来年度、本当に増益基調を維持できるか、市場で不安が強まってきた。そのことが上値の重い日本株の背景だろう。買い戻しが一巡した後に、日経平均が1万5000円を超えて上値を追うためには、追加緩和などの材料が必要だ」との見方を示している。
(伊賀大記 編集:田巻一彦)
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