80年代を見よ! 「結婚志向」が妙齢男女のリアルに
けれど、『結婚潮流』は編集長自身が「ビックリしたんです。結婚の本って、みんな結婚のきまった人の本なんです」と創刊の動機を説明しているように、婚活中の女の子たちを対象に「どんな人と、何を基準に、相手を選んだら、幸せな結婚ができるのかしら」という問いに答えようとした。
この違いはすごく大きい。この差がこの雑誌に、徹底的に戦略的に結婚を考えようという、一貫した態度を与えたのだから。こうして、まるで婚活を先取りするかのような雑誌が降誕した。
先取り。まさに先取りだ。婚活学(そんなものがあるのか知らないけれど)の聖書(バイブル)、山田昌弘・白河桃子『「婚活」時代』(2008年)で、山田先生は1975年ごろから始まった晩婚化、非婚化の傾向によって、1990年ごろには結婚の位置が大きく変化し、これからは婚活が必要になると書いた(そして実際婚活ブームが生じた)。この枠組みから見ると、『結婚潮流』は最も鋭利に(ときに下世話にではあるけれど)時代の変化を読み取っていたのかもしれない。
80年代の若者というと、バブルへと向かう空気の中でディスコで踊り狂っていたみたいな色眼鏡で見られることもあるけれど、そんな中で「結婚志向こそ、最もススンデル考え方だと思っているんです」とキッパリ言い切る若い編集長の姿勢は、80年代という時代の違った一面を象徴しているように思える。
そう、たぶん結婚をしっかりと見つめることは、結婚を意味づけている社会を見つめ直すことでもあるのだ。
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