ピエール瀧「逮捕後わずか1年弱で復帰」の是非 芸能界は甘いのか、活動復帰への応援と批判

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ピエール瀧さんの早々とした復帰に注目が集まっています(2016年12月10日、写真:日刊スポーツ新聞社)

昨年3月にコカイン使用容疑で逮捕され、6月に麻薬取締法違反で懲役1年6カ月、執行猶予3年の有罪判決を受けたピエール瀧さんが今月映画撮影に参加し、芸能活動に復帰することが明らかになりました。

20代のころから薬物を使用していたうえに、「損害総額30億円」という報道が出るなど、世間を大きくさわがせていただけに、逮捕からわずか1年弱での復帰にさまざまな声が飛び交っています。

ここでは、沢尻エリカさんが2月6日午後に懲役1年6カ月、執行猶予3年の判決を受けたことも受けて、有罪判決からの早期復帰の是非や、今後の活動フィールド、薬物を使用した芸能人に求められる姿勢などをつづっていきます。

復帰を左右する情とビジネスニーズ

まず有罪判決から早期復帰の是非について。今回の報道を受けた否定的な声の中で最も多かったのが、「芸能界は甘い」という声。また、「甘いから1年足らずで復帰させてしまう」という早さへの言及も散見されました。

確かに、薬物を使用し続けた年月と損害総額を考えれば、「甘い」「早い」と感じるのは当然であり、常識的な視点からも合点がいきます。ただ、これまで罪を犯してしまった人のコンサルやケアをしてきた経験から書かせてもらうと、人間の更生に罪の年月や損害額は関係ありません。その長さや大小にかかわらず、早い段階から周囲がサポートしなければ、ますます社会復帰が難しくなっていくものなのです。

「芸能界は甘い」という声に関しても、必ずしも正しいとは言えないでしょう。罪を犯した人をサポートするのは家族、友人・知人、同僚であり、本人のスキルや適性を知っているからこそ、同じ業界に復帰させるケースが少なくありません。これは沢尻エリカさんも同様であり、更生するための最善策を考えたとき、身近な人々ほど「甘い」とは言っていられないのです。

また、ピエール瀧さんや沢尻エリカさんのように類まれな技量を持つ専門家であるほど、それを評価する同業界の人々が手を差し伸べる傾向が強く、これは芸能人に限らず、大半の専門職に同じことが言えます。手を差し伸べる理由は必ずしも情だけではなく、「この役はピエール瀧さん以外考えられない」というビジネス面の評価も多分にあるでしょう。

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