武漢で見た「肺炎患者」のあまりにも悲惨な現実 中国メディア財新「新型肺炎のリアル」2月3日

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一方、家庭内での感染は頻繁に発生している。楊さんの家族は武漢の漢陽区に住んでおり、父親は1月29日に呼吸不全で亡くなった。楊さんと母親も数日間にわたって38度以上の高熱と激しい咳にさいなまれている。だが、何度病院に行っても門前払い。楊さんはとうとう記者と会話することさえできなくなり、ショートメッセージでやりとりせざるをえなかった。楊さんと母親の診断結果はまだ出ておらず、入院できていない。

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国家衛生健康委員会の高級専門家グループのメンバーである李蘭娟氏は、2月3日に中国国営テレビのインタビューで、「武漢は検査試薬の量が依然として不足しており、検査を受けられない人がいる」と述べた。

漢口在住の、感染が疑われる男性は「妻は感染者数が急増した1月中旬に発症したが、1月の終わりまで指定外の病院で隔離され、検査を受けられなかった。問診や画像診断などの指標は新型コロナウイルスの感染を示唆しているが、今でも正式に診断されていない。政府はいつだって動きが遅い」と力なく話す。

集団感染を減らす取り組みが重要

感染の急速な拡大を防ぐためには、家庭内などでの集団感染を減らす取り組みが重要だ。「北京市疾病センター」によると集団感染とは、14日以内に小さな範囲内(家庭や職場など)で2人以上が感染し、濃厚接触による人から人への感染の可能性があるなどのケースを指す。

北京市では、集団感染が多発しており、重大かつ難しい課題となっている。北京市政府の2月3日の発表によると、同日0時までに北京の新型コロナウイルスの患者は累計212人だが、その半数以上の124人が集団感染に関与している。その内9人は、「首都医科大学附属復興医院」内での集団感染で、5人は医療スタッフ、4人は入院患者だ。

2月3日、「広州市疾病センター」によると、患者の(自宅の)ドアノブから新型コロナウイルスの痕跡が発見された。このことは飛沫感染だけでなく、接触感染のリスクも示している。感染力の強い新型コロナウイルスに対抗するには、手洗いを励行し、家庭を清潔に保ち、換気をよくするだけでなく、日常的によく触れる物を消毒することも必要だ。

(財新記者:丁捷、黄姝伦、宿慧娴)

財新編集部

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Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

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