自分を優先できない「ナイナイ症候群」の正体 つい自分を後回しにしてしまうのはなぜなのか

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自分のいいところに目を向けていないのでは、自分の価値に気づくことができないのも当然です。

でも、よく考えてみてください。あなたはこれまで、すでにたくさんのことを人のためにやってきました。あなたは、子どもの頃から頑張ってきたはずです。大人になった今も、自分も忙しい中、家族や友人のために、頼まれたことや気づいたことをやってあげている方もいるかもしれません。

職場でも、時間内に終わりそうにない仕事を抱えている人を見つけて手伝ってあげたり、全体の業務がうまく運ぶよう、さりげなく気がついたところをフォローしたり、人があまりやりたがらない仕事を引き受けたりして、頑張っているのではないでしょうか。

あなたは人に、これまでたくさんの愛を注いできました。あなたに助けられた人は、たくさんいるでしょう。あなたは素晴らしいことをやってきたのです。

ぜひ今、「本当によくやってきたね」「よく頑張ってきたね」など、自分のいちばんの応援者、理解者として、心の中で自分に向かって、ねぎらいの言葉をかけてあげてください。

自分の頑張りをきちんとねぎらい、認めてあげることが大切です。そうすることで、自分の価値に気づき、自分を優先できるようになっていきます。

感謝で「ナイナイ症候群」とさよならする

カウンセリングで自分を後回しにしてしまう人の話をうかがっていると、ほとんどの場合、出てくるのが、「○○がない(無い)」という言葉です。

「自分の時間がない」「お金がない」「自分を愛してくれる恋人(パートナー)がいない」「こんなにやっているのに感謝されない」など、「自分にはあれもこれもない!」という「足りない」ことにばかり着目しているのです。そして、「こんなに〝ない〟私は、ダメなんだ……」という思いを持っています。

いつも何かが「ない、ない」と悩んでいるこの症状を、私は「ナイナイ症候群」と呼んでいます。

ナイナイ症候群の特効薬は、「感謝」です。

感謝は本来、自然とあふれ出るものですが、「ナイナイ症候群」にかかっていると、足りないことばかりに目がいき、かつてあったこと、今あることが見えなくなってしまい、イライラや焦り、将来への不安などマイナスの感情で心が占拠されてしまいます。

「ナイナイ症候群」の方におすすめなのが、「感謝のワーク」です。意識的に感謝できることを探し、「感謝リスト」を書くというもの。1日5個、感謝できること、感謝したいことを見つけて書き出しましょう。そうして、「ない」から「ある」へと視点をシフトさせていくのです。

内容はその日にあったことで、自分が感謝できること、感謝したいことならなんでもOK。シンプルな方法ですが、多くの方が効果を実感されています。

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