「彼だから結婚したい」そう言わせる男性の中身

出会った翌月に婚約した2人の"確信“

20代の頃から治夫さんは結婚相談所の利用を試みた。しかし、知人が経営する相談所には入会を断られてしまった。やや特殊な生い立ちのため、「紹介できる女性が見当たらない」という理由だ。

「仕方ないので婚活サイトを利用しました。でも、30代半ばまでは仕事があまりに忙しくてデートする時間がなかったのです。ある大型機械のサポートをしていたときは24時間いつでも電話で呼び出しに応じなければなりませんでした。1週間のうちに3日間ぐらいは徹夜していましたね……」

30代後半になりようやく仕事に余裕が出た。治夫さんは婚活サイトで知り合った2人の女性とそれぞれ同棲をしたことがある。結婚を視野に入れていたが、1人目は1歳年上の女性で、浪費癖があって共同の生活費を使い込んでしまうような人だった。最終的には200万円もの借金を治夫さんが肩代わりする代わりに別れを告げた。

2人目は酒場で知り合った同い年の女性。2018年までの2年間一緒に住んでいたが、結婚のやすらぎが欲しい治夫さんに対して、彼女は「縛られたくない」と拒否。治夫さんは生きる道が違うと判断した。

「2人目!? 初耳なんだけど。どうして言ってくれないの?」

インタビューの途中だが、三貴さんが少し怒り始めた。コミュニケーション上手とは言えない治夫さんは、過去の同棲経験をうまく説明できていなかったようだ。慌てて弁解する治夫さん。「私の聞き違いだったのかも」とすぐに落ち着きを取り戻す三貴さん。いいコンビだ。

誰かと一緒に住むことが自分に向いているか不安だった

三貴さんのほうは治夫さんとは対照的な家庭環境で育った。3世代同居の温かくも厳格な家だった。

「とくに祖父母が厳しかったです。門限が早くてイベントがあっても2次会には行けなかったりして、『家庭って窮屈だな』とずっと感じていました。18歳のときに進学で上京してからはずっと1人暮らしです。映画を観たり本を読むのが好きで、寂しいと感じたことはありません。むしろ誰かと一緒に住むことが自分に向いているのか不安でした。2人の姉に子どもがいるので、自分は子どもを望んでいません」

それでも35歳を過ぎたあたりから「本当にこのまま1人でいいのか?」と思い始めた。母親が体調を崩したこともあり、「親を安心させたい」という気持ちも強まった。

仕事帰りに気軽に寄れる婚活パーティーをときどき利用していた三貴さん。3年ほど前まで約1年間付き合っていた男性がいた。

「(治夫さんと同じく)その人も穏やかな男性でした。刺激はないけれど、結婚するには悪くないかなと思っていたんです。でも、彼は実家暮らしの1人っ子で、お母さんが病弱なことを理由にいつまで経っても実家を出て結婚に向かおうとしません。付き合って9カ月目で、私は仕事を続けたいけれど彼の実家近くに住んでも構わないことをプレゼンしました。それでも動こうとしないので『ダメだ、この人』と見切りをつけたんです」

控えめで優しげな外見の三貴さんだが、自立心や決断力の弱い男性には厳しい評価を下すようだ。自分自身が1人暮らしを満喫してきたことが影響しているのかもしれない。

次ページ治夫さんは、自立という面で最高レベルの男性だった
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