「彼だから結婚したい」そう言わせる男性の中身 出会った翌月に婚約した2人の"確信“

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自立という面では、ほぼ天涯孤独ながらも前向きに生きてきた治夫さんは最高レベルの男性である。性格は穏やかで誠実。そして、積極性はありすぎるほどだ。ワイン会でLINE交換を申し出たのも治夫さんで、すぐに「ご一緒どうですか?」とデートを提案。音楽や飲食の趣味で細かいところで共通点もあり、話は大いに盛り上がった。とはいえ、そのまま結婚前提で話を進めるとは性急である。

「帰りの駅ホームで、『これからもずーっとよろしく』と言われました。まだ付き合ってもいないのに……。でも、いい人そうだから、また会うことにしたんです。それからは毎日、長文のLINEが来るようになりました。頻度も量ももうちょっと少ないほうが嬉しいな、と彼に伝えたことがあります」

愉快そうに笑う三貴さん。好感が持てる人であれば多少「重い」アプローチでも歓迎できるタイプなのだろう。治夫さんの勢いは止まらない。初デートの翌月には三貴さんとの新居を探し始め、三貴さんの両親に挨拶をしに行った。

「誠意あふれる彼を私の両親もすぐに気に入ってくれました。その日が彼との初お泊まり。実家なので、もちろん部屋は別々ですよ。私のすっぴんを見せたのもその日が初めてです」

僕は仏間で猫ちゃんと遊びながら寝ました、とほほ笑む治夫さん。結婚に向けてはスピーディーだが、肉体関係を急ぐことはなかったのだ。その点でも三貴さんを安心させたのだろう。2カ月後には婚姻届を提出し、現在に至る。

「あなたとだから結婚したい」「手をつないで寝ると安心」

「心が通じ合える人と暮らすことができ、初めての安心感を覚えています。共働きですが、彼女を路頭に迷わせられないという責任感も出ました。仕事をするにも張り合いがあります」

目を輝かせて語る治夫さん。彼に押され気味で結婚した三貴さんのほうも時間が経つにつれて喜びが増しているようだ。

「1人暮らしが長くて、誰かと一緒に寝るのが苦手でした。でも、今では毎晩、治夫さんと手をつないで寝ています。そうしないと安心できません。人って変わるんですね」

そんな三貴さんは条件よりも人となりを重視して結婚することの意義を強調する。

「治夫さんのプロフィールを知らずに、ワイン会で知り合ったことが私にはよかったのだと思います。彼の人間性だけを見ることができたから。私もそれなりに恋愛をしてきて、条件面では治夫さんよりもいい人はいました。でも、彼は誰よりも人間性がすばらしいと断言できます。誠実で優しくて、ひたむきで……。つねに私を気遣ってくれるんです。治夫さんとだから結婚してみたいと思えました」

人はみな承認欲求を抱えている。幼少期に寂しい思いをした治夫さんはなおさらだと思う。「あなたとだから結婚したい」「条件ではなく人間性がすばらしい」「手をつないで寝ると安心する」と言われ続けることで得られる励みの大きさは計り知れない。それをエネルギー源にして、治夫さんは残りの人生を一生懸命に過ごせるだろう。喜びに満たされながら。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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