東芝機械を揺さぶる村上グループの通告 買収防衛策の導入を取締役会で決めるな
1つは、1月17日に東芝機械が公表した買収防衛策(買収者が現れた際に第三者に新株予約権を無償付与する「新買収防衛策」)の導入を承認するべきか否か、もう1つは、新買収防衛策を村上氏の関連会社に発動すべきか否か、である。
村上側は取締役会に宛てた22日付の文書で、以下の論理で会社側に対応を迫っている。東芝機械が21日に公表したリリースで、TOBの判断は、「最終的には株主の皆様によってなされるべき」としている。そして、今回のTOBが、不十分な情報の中でいきなり始まったとして「株主の皆様の適切なご判断の機会を奪うものであり、誠に遺憾」としている。
これに対して村上側は「(2019年5月に)株主の意向に従って買収防衛策を廃止したのにもかかわらず、廃止からわずか7カ月後に株主の意思に反して『有事』という名目で買収防衛策を復活させた」と指摘。「(東芝機械の)取締役会こそ、株主の意思をないがしろにするものであり、許されるものではない」と村上自身も憤りを示す。
しかしながら、取締役会に宛てた文書は、「弊社は、株主の意思を確認することにやぶさかではありません」と続く。東芝機械が、株主が判断する機会を奪うものだというのであれば、TOBの対抗策である買収防衛策導入も株主の判断を仰ぐべき、という論法である。
臨時総会のためにTOB期間の延長も辞さず
村上氏は21日にこの提案をひらめき、「妙手」であると確信。興奮して寝付けなかったという。「株主のためと言ってきた手前、東芝機械には打ち手がなく、臨時総会を開催せざるをえないだろう」(村上氏)と自信を示す。
TOBの終了後に臨時総会を開いても意味がないため、総会の開催日が焦点となる。そこで村上氏側は、「(TOB中の臨時総会開催が)もしどうしても間に合わないということであれば、弊社は、公開買い付け期間を延長する用意があります」としている。
臨時株主総会の議題のうち、新買収防衛策の導入については「普通決議(=過半数で可決)でも株主の賛成の意思表示と解することも可能」とする一方、村上氏の関連会社に新買収防衛策を発動するか否かは、「特別決議(=3分の2以上の賛成が必要)を要するものと考えます」としている。
特別決議が必要なことについては、過去のブルドックソース事件の最高裁判例を引用するとともに、「新株予約権の発行は有利発行と同視される」と指摘している。そのうえで臨時総会開催について、文書では「対応方針を早急にご回答願います」と締めくくっている。東芝機械はこの要請にどう対応するのか。頭を悩ませる日々が続きそうだ。
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