43歳「非正規」の彼が人間扱いされないと憤る訳 翻弄された氷河期世代の今も続く塗炭の苦しみ

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Aさんが大学を卒業した1999年は、まさに就職氷河期の真っただ中だった。学生時代のPCショップでのアルバイトをそのまま続け、その後は新聞広告の代理店へと転じた。アルバイトとはいえ、平日、土曜午前のフルタイムで働き、手取りは月に20万円超。社会保険も完備していた。

この仕事を長らく続けたが、業界環境が厳しくなったこともあり、30代半ばで転職を決意した。年齢のこともあり、安定した正社員の仕事を探そうとハローワークにも通ったが、結果は芳しくなかった。

「やってきた仕事内容には関心を持ってもらえても、正社員ではなくアルバイトだったと話すと、面接官はみな態度を一変させた。フルタイムであっても、職歴とは認められなかった」(Aさん)

人としてみられなかった

介護業界に飛び込んだこともあった。ホームヘルパー2級(当時)の資格を取得し、デイサービスで入浴や排泄の介助、利用者の送迎の補助などに携わった。「気を抜くと人が死ぬ職場」という緊張感の一方、アルバイトのため手取りは月12万円程度で、貯金を切り崩しながらの生活を余儀なくされた。

精神的に追い詰められ、自転車で都内の職場に向かっていたはずが、気がついたら遠く相模湖にいたこともあった。しばらく欠勤が続くと、所長から携帯電話に連絡があった。「辞めるなら、私物を取りに来て」とだけ告げられた。

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「大学を出てからずっと非正規労働者、そして個人事業主として働いてきたが、結局、人ではなく単なる労働力としてしかみられなかった。時代が悪かった、とだけで済まされる話なのか」(Aさん)

Aさんのように、雇用環境が厳しかった1993年から2004年の間に高校、大学を卒業した就職氷河期世代には、希望する就職ができず、現在も不本意ながら不安定な仕事を余儀なくされている人は少なくない。Aさんが卒業した1999年などは、未就職卒業者数は実に10万人を超えていた。

大卒以上に希望する就職やその後の転職が難しいのが、高卒や高校中退で社会に出たケースだ。

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