マネックス証券の野望、2度目の大型再編へ
2005年にマネックス証券と旧日興ビーンズ証券が合併して以来、二度目の大型再編が起こった。10月28日、マネックス証券とオリックス証券が来年5月をメドに合併すると発表した。
2社の営業収益は単純合算すると約318億円(09年3月期)に上る。業界では現在2位の松井証券をしのぎ、約475億円の最大手SBI証券に次ぐ規模になる。
10年前の株式委託手数料の自由化を機に急成長したネット証券だが、各社の業績は06年3月期をピークに右肩下がりが続いている。ライブドアショックで個人投資家の株式離れが進み、一連の金融危機も響いた。各社が手数料値下げを競い合い、「安さが革新的だったが、(ネット証券は)普通の存在になってしまった」(マネックスの松本大社長)。採算を考えると、もはや値下げの余地も限られてきた。
合併に際しては、手数料体系やシステムの一本化、間接部門人員の削減など課題も多い。それでも今後、シェアの優劣を逆転しないかぎり、自力で大きな成長を果たすのは難しい。再編に踏み切り、「巡航速度の業界に、もう一度インパクトを与えたい」というのが松本社長の思いだ。
憶測呼ぶ真夏の密会
マネックスは今回、松井証券との合流も探ったフシがある。8月中旬、松本社長は松井証券の松井道夫社長を誘って、東京都内で会食した。
ちょうどその頃は、今回のオリックス証券との統合交渉が始まった時期と重なる。そこで何が話されたのかは定かではないが、「松本社長はかねて手数料水準の近い松井証券の松井社長に秋波を送っていたように見えた」(関係者)といわれる。