「女を武器にしている」29歳を悩ます上司の言葉 女性社員をホステス代わりにする日本の歪み

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さらに、上司や役員たちから「女を武器にしている」と嘲笑されることについて、松田さんはこう語る。「まじめに営業して成果を出しているのに、根も葉もないことを、それも上司たちからでっち上げられて、驚きました。そもそも、会社側は私に『若い女の子要員で』と営業に行かせたにもかかわらず、契約を取ったら取ったで『女を使っている』と非難されるのは意味がわかりません」。

取引先が男性の場合、相手を懐柔することを目的に女性社員に営業をさせるのは、昔からよく行われている悪習のひとつだ。ビジネスにおいては「有効な手段」なのかもしれないが、女性側に大きな負担がかかったり、トラブルに発展するリスクもあるため、ある程度「まともな」感覚を有した会社では今、色恋営業や「女性性を利用している」と見られかねない営業手段はまず取らないだろう。

しかしながら、この会社は松田さんが「女であること」を最大限に利用しようとした。そればかりか、「女が」「仕事で」成果を残せるのは、実力や努力ゆえではなく「女だから」だと揶揄し、1人の社員を、人間を侮辱したわけだ。とても許されることではないと思う。

「女を使っている」と言われるたび、松田さんは「そんなふうに攻撃されるくらいなら、男性に生まれたかった」と思うことが何度もあったという。

上司や患者からのセクハラも我慢

松田さんが「女であること」を煩わしく思ったのは、これだけではなかった。

先ほどの上司とはまた別の男性上司たちから、セクハラを受けることもあった。業務上、1日中上司と2人で作業をしていたとき、なぜか下の名前を呼び捨てにされるようになった。密室で頭を撫でてきたり、体を触られたりもした。嫌がってもやめてくれないので後日上に報告をしたが、会社の対応は軽い口頭注意のみだったという。

松田さんは続けて、こう話した。

「でも、相手がスタッフならまだマシです。患者さんだともっと大変なので」

松田さんを含め、女性スタッフが患者から体を触られることは少なくない。個室で施術する際、男性の患者に腕をつかまれて、無理やり体を触らさられたこともある。ほかにも、往診で訪れた男性宅で、突然抱きつかれて頬にキスをされたこともあった。

「気持ち悪い」と思っても、院長である手前、激しく拒絶することはできない。スタッフを守る立場であるため、もめ事にならないよう相手の怒りを買わずにうまくかわすようにしている。

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