ゴーン被告、逃亡を可能にした「主犯」は誰か 検査なし、プライベートジェットに抜け穴
ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、ゴーン被告は音響機器用の大型ケースに身を隠していたとされており、このケースはプライベートジェットの客室後方で発見されている。そして、ゴーン被告を運んだトルコのプライベートジェット運航会社MNGジェットは、従業員が個人的にゴーン被告の搭乗記録を改ざんしたことを確認した。
日本において国際線の乗降客数が2番目に多く、日本を代表する空の玄関である関西国際空港からゴーン被告が逃亡することはなぜ可能だったのか。
一般的に、航空会社の旅客便に搭乗する際、乗客と手荷物はX線や金属探知機による保安検査を通過する必要がある。保安検査は航空法で義務づけられている。現場で実際の検査作業を担うのは、航空会社から委託を受けた警備会社だ。保安検査の後、CIQ(税関・出入国管理・検疫)のブースを経て、晴れて出国となる。
プライベートジェットでは保安検査の義務なし
関西国際空港の第2ターミナル内には、ラウンジや会議室を備えたプライベートジェット利用者専用の空間「玉響(たまゆら)」が設置されている。プライベートジェットの利用者は一般乗客と違い、玉響内にある保安検査ブースとCIQブースで所定の手続きをする。
欧米では企業経営者や富裕層の移動手段としてプライベートジェット約2万機が飛んでいる。世界の主要空港の多くでは、関空の玉響と同じような施設が整備されている。
保安検査の目的は、テロやハイジャックを防止することだ。この点、プライベートジェットは「もともと見知った人しか乗せない飛行機。テロのリスクは若干低い」(国土交通省)ため、保安検査の実施はプライベートジェットの運航会社に義務付けられていない。
つまり、プライベートジェットにおける保安検査の実施状況を空港や国土交通省が把握する義務もない。フランスの空港会社であるヴァンシ・エアポートとオリックスの合弁会社で、関西国際空港を運営する関西エアポートは「ルールに沿った対応をしていた」(同社)に過ぎず、ゴーン被告が関空から逃亡することを保安検査で防ぐことは現実的ではなかったと言える。
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