「白絹の産着」の復活なるか、ネットレンタルでお手頃に
産着は赤ちゃん生まれた後に最初に袖を通す伝統の着物。白絹で丁寧につくられた産着には、虫が付かないよう「麻の葉」の模様を折り込み、魔よけの「背守り」が縫い込まれている。かつては、お宮参りをする際の正式の着物として広く用いられていたが、今ではすっかり廃れている。
これに危機感を抱いたのが、父親の代から着物の仕立てを家業としてきた真和(http://ubugi.jp/)の内田勝三社長。今では、白絹の産着を手作りできる職人はほとんどいなくなっており、「このままでは大切な日本の文化が廃れてしまう。親子の絆が薄くなっている今こそ日本独自の文化を見直すべきではないか」と発奮。数年前からインターネットを通じて産着の販売を開始した。産着の価格は4万8000円から。そのほかオリジナルの掛け着なども取りそろえた。「材料代、手間暇を考えるとまったく利益は出ない。それでも高く感じられるのか、ほとんど注文はなかった」。安産の神様が祭られる水天宮でチラシ配りをするなどして営業を行っても、反応はほとんどなかったという。
「白絹の産着に包まれた赤ちゃんはキラキラと輝いて見える。その姿を見れば、いとおしさは何倍にも膨らむ。こちらに利益がなくたって多くの人にその素晴らしさを体験してもらいたい」--そんな思いから今年春には3泊4日で9450円のレンタルサービスを開始。その後は、ホームページを見ての電話問い合わせや注文も少しずつ集まるようになった。10月には、レンタルサービスを申し込んで産着を借りた若いお母さんから、赤ちゃんの産着姿を撮影した写真を同封した感謝の手紙も届き、「本当にうれしかった」(内田社長)。
実は、赤ちゃんのよだれなどが付くと、その部分だけ独特の光沢がなくなってしまうため、クリーニングをしたところで再利用は難しい。そのため、「撥水コーティングを施すことでレンタルサービスをきちんと回していけるようにしていく」と内田社長。今後の利用拡大に向けた準備を進めている。
(山田俊浩 =週刊東洋経済)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら