今年の鉄道業界、注目すべきトピックはこれだ 新車が続々登場、「高輪ゲートウェイ」開業も

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10年単位の視点で見ると、2022年から2023年春にかけて北陸新幹線・金沢─敦賀間と長崎新幹線・武雄温泉─長崎間が開業する。

だが、長崎新幹線は佐賀県内の新鳥栖─武雄温泉間の整備方針が決まらず在来線のまま残り、関西方面から長崎に向かうには途中で2度乗り換える必要がある。これでは、開業しても大幅な利用増は見込めない。長崎県は全線新幹線化を望むが、費用負担を嫌う佐賀県が猛反対。佐賀県が納得できるよう、スキームの再構築が必要だ。

北海道新幹線では2030年度末の開業を目指して新函館北斗─札幌間の工事が進んでいる。さらに、北陸新幹線は、関西財界を中心に敦賀─新大阪間の早期着工を要望する声が大きい。毎年の新幹線建設の予算が限られていることを考えると、長崎新幹線が全線新幹線化されるにしても、工事が後回しとなり、実現は遠い将来となる可能性もある。

技術革新は鉄道をどう変えるか

鉄道業界は技術革新の真っ只中にある。とりわけ期待が大きいのは無線式列車制御システム(CBTC)と、状態基準保全(CBM)の2つ。CBTCは列車の位置を無線通信で把握することで、前後の列車の間隔を短くすることができるため、列車遅延時のダイヤ回復に高い効果が期待できるほか、地上設備の保守コスト削減にもつながる。

2022年度末、東京メトロ丸ノ内線で実用化されるほか、都営地下鉄大江戸線でも導入が決まっている。東急田園都市線でも「勉強中」としている。なお、CBTCと類似のシステムは埼京線が2017年に導入している。

CBMは老朽化や異常といった設備の状態を予知してメンテナンスを行うことで、保全コストを大幅に下げる仕組み。ICT技術の発達で導入コストが下がり、普及が進みつつある。山手線の新型車両で取り入れられており、多くの鉄道会社が活用を検討中だ。

自動運転装置(ATO)と自動列車制御装置(ATC)を組み合わせたドライバーレス運転への期待も高い。2019年1月7日、JR東日本が山手線でのATO運転試験を公開した。JR九州も別のアプローチでドライバーレス運転の検討を進めている。

2019年は自然災害が猛威を振るった1年だった。ドライバーレスのような効率化の追求もさることながら、災害対策もぜひこの10年で万全なものとなってほしい。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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