急激な「野球離れ」で球界が直面する厳しい未来 「野球離れ元年」から10年、2020年は節目の年に

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そういう意味では野球界も動き出してはいる。しかし取材をしていて感じるのは「このままでは反転攻勢に出るのは難しい」ということだ。

プロ、大学、高校などで普及活動に携わる担当者に話を聞くと必ず出てくるのが「私達はやれることをやっています」という言葉だ。「この取組は素晴らしいから、他の団体にも広めてはどうですか?」と聞いても口は重い。少なくともこちらから働きかける意志はないようだ。

野球界は各団体がバラバラに存在してほとんど連携していないのだ。プロ野球は過去にルール破りの引き抜きを行ったためにアマチュア野球とは長らく絶縁状態だった。アマ資格回復など雪解けは始まっているが、まだまだ障壁がある。高校、大学、社会人、そして独立リーグなどもほとんど連携していないのが現状だ。

だから「野球離れ」に対する取り組みはみんなバラバラだ。手法も目的もみんな違っている。そうした取り組みを自分たちのテリトリーに限定して展開しているにすぎない。

「野球振興」という最終の目的は同じだが、文字どおり足並みが乱れているのだ。もちろん、現状に対する危機感から、各地域では野球団体に横串を刺して問題を共有する「野球協議会」が生まれている。

しかし、現場ではなかなか話が進展しない。昨年の日本野球科学研究会第7回大会では指導者ライセンスをまとめることになっても「あいつの言うことを聞くのはいやだ」といった低次元の主導権争いになるという発表があった。端的に言えば、各団体の上層部にいる年配の幹部には「野球離れ」に対する危機感が希薄だ。それよりもメンツを重んじ、「新しいことは何もしたくない」という保守性も感じる。

新潟県の先進的な取り組み

例外的に新潟県では、小学校、中学、高校の硬式、軟式野球の各団体が結集した新潟県青少年野球協議会が「野球少年の未来」を考えている。筆者は年末に新潟ベースボールフェスタの取材をしたが、各団体の関係者が垣根を超えて集まり、野球ひじ検診や野球教室を運営していた。

2019年12月、新潟ベースボールフェスタの様子(筆者撮影)

日本高野連の「投手の障害予防に関する有識者会議」ができたのは、前年のこのイベントで、新潟県高野連が4月の県大会から「球数制限」を試験的に導入すると発表したのがきっかけだった。

世間は新潟県高野連の決断を驚きをもって受け入れたが、この決断は、新潟のすべての野球団体の総意だった。長い議論と試行錯誤のうえで、こうした決断に至ったのだ。

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