大和ハウスが挑む米国市場開拓の"方程式" ターゲットはサンベルト在住の「Y+Z世代」

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外観はシンプルに、2階までをレンガ仕様としている

それがなぜ今、3年間で1600億円もの開発資金を一気に投下する決断を下したのか。

背景にあるのは、リンカーン社というパートナーを得たという事情だけではない。「景気回復を受けて、米国の不動産市場が明るさを取り戻しつつあり、今が投資のタイミング」(広報企画室)という判断も、米国事業の本格的な再スタートに踏み切った大きな理由だ。

とりわけ、カリフォルニアやテキサス、フロリダの各州を含む「サンベルト」と呼ばれる北緯37度以南の温暖な地域では、航空機や電子産業の発達に加え、最近ではシェールガス関連などのエネルギー産業が活況を呈している。この地域では、中南米や西欧、アフリカなどからの移民流入も背景に人口が急増しており、不動産開発、賃貸住宅市場にとっても事業機会が増えている。

第1号プロジェクトを展開するテキサス州フォートワース市も、航空機産業の街として知られ、2012年までの10年間の人口増加率は米国平均(9.14%)を大幅に上回る30%を記録している。

需要が見込めるY、Z世代

米国の賃貸住宅市場において、これからの15年ほどは、1975年~1989年までに生まれた「ジェネレーションY」および、その子ども世代である「ジェネレーションZ」が需要の中心となってくる。フォートワース市の人口ピラミッドでは、この両世代の層が厚く、世帯年収の高い専門職や近隣大学の学生、教職員などを中心に安定した賃貸需要が見込まれる。

今後も「サンベルト地帯や、現在、高層賃貸住宅の開発を検討しているシカゴなどの主要都市部を中心として、物件を開発していく」(広報企画室)という。

大和ハウスの海外事業においては、買収した準大手ゼネコンのフジタとも連携する中国や東南アジアでの事業展開が先行していた。大和ハウスでは今回、賃貸住宅事業だけでなく、物流倉庫や分譲住宅事業も米国で順次スタートさせていく方針を明らかにした。2011年に事業再開後、タイミングを探っていた本格展開へのアクセルを一気に踏むことで、米国マーケットを新たな収益源に育成する構えだ。

水落 隆博 東洋経済 記者

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みずおち たかひろ / Takahiro Mizuochi

地銀、ノンバンク、リース業界などを担当

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