「寅さん50年」映画に登場した鉄道名場面の数々 過去全作品に登場した鉄道を写真で紹介
第7作「奮闘篇」(1971年)では、只見線の越後広瀬駅で集団就職列車を牽くC11が登場する。寅さん以外は現地の人ばかりが出演しリアリティを出している。それだけに汽車の別れの場面は切ないが、寅さん独特のオチで鉄道のシーンが冴えわたっていた。
第8作「寅次郎恋歌」(1971年)には、当時D51の三重連で有名だった伯備線が登場、備中高梁を走るD51が随所に効果的に「出演」している。後の第32作「口笛を吹く寅次郎」(1983年)では同じ場所をD51に代わって特急電車「やくも」が一瞬のうちに通過する。山田監督は「年月経過を鉄道の移り変わりで表現したかった」という。
第11作「寅次郎忘れな草」(1973年)では旅の歌手リリーと初めて出会う。その場所は網走行き夜行列車急行「大雪」の車中。C58が牽く旧型客車の中での運命的な出会いである。そして寅さんを心配するあまり、妹のさくらが網走に向かう際の列車も急行「大雪」だ。
札幌―網走間を走る急行「大雪」は、普通列車に格下げされる北見―網走間ではC58が牽いていた。
各地のローカル線を旅した寅さん
時代が進むとともにSLが廃止されると、寅さんの旅はローカル線が目立つようになっていく。
第9作「柴又慕情」(1972年)で寅さんが夢から覚める場所は、石川県の尾小屋鉄道。当時、全国に残った唯一の非電化軽便鉄道として鉄道マニアの熱い視線を浴びていた。山田監督はその素朴な鉄道の金平駅に寅さんを立たせ、小さな客車に乗せて旅をさせた。同鉄道は「柴又慕情」が封切られて5年後の1977年に廃止された。
この作品で北陸路を訪れた寅さんは福井県の永平寺を訪れ、京福電鉄永平寺線(2002年廃止)の京善駅で、マドンナの吉永小百合ら3人のOLと出会う。すっかり意気投合して東尋坊などを巡り、レトロな駅舎の東古市駅(現・えちぜん鉄道永平寺口駅)で夕暮れの別れ。マドンナの吉永小百合に恋心を寄せる寅さんの、駅舎を去る後ろ姿は寂しい。
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