「ぼくらの7日間戦争」がアニメで復活した背景 名作に再び光を当てるKADOKAWAの「知財戦略」
「脚本のコンセプトとして、同時代性みたいなものは明確に取り入れようと考えた。もちろん仲間たちとワイワイしながら、ワクワクするような冒険を楽しむ、という部分は残しながらも、思春期の悩みやアイデンティティー、自己同一性みたいなところは現代風にアップデートした。そのあたりのバランスを見極めながら脚本を進めていった」(工藤局次長)。
本作のスタッフ編成も、実写映画版の大ファンだった40代、50代のスタッフと、当時を知らず、新鮮さを持って本作に挑んだという20代、30代のスタッフを混合させたという。結果、当時の作品への思い入れが強いベテランスタッフの熱量と、新しいものをつくりたい若手スタッフの意欲が融合し、充実した作品をつくりあげることができた。
「基本的なターゲットは、やはり10代から20代前半ぐらいまでのアニメ好きな若い人たち。まずは彼らに楽しんでもらいたい。そのうえで、実写映画を観ていた親世代にも訴求できたらいいと思っている。実写映画とアニメ映画をつなげるキーワードとして、『SEVEN DAYS WAR』だったり、宮沢りえさん演じる中山ひとみを再登場させたりしているが、それはあくまで遊びの部分の位置づけ」と、工藤局次長は説明する。
2020年も過去の名作のアニメ化が相次ぐ
KADOKAWAは、同社が持つ、書籍の版権や、実写作品のIP(インテレクチュアル・プロパティ=知的財産)を活用した、アニメ化プロジェクトを推進しており、多くのファンに愛された原作・実写作品がアニメとしてよみがえることとなる。
現在発表されているだけでも、田辺聖子の原作小説で、2003年の実写映画では妻夫木聡や池脇千鶴らが演じた『ジョゼと虎と魚たち』のアニメ映画版が松竹との共同配給で、2020年公開予定のほか、石田衣良の原作小説『池袋ウエストゲートパーク』が、テレビアニメとして2020年に放送される予定だ。
「(アニメ映画版の)『時をかける少女』から『ぼくらの7日間戦争』まで、しばらく間が空いてしまったが、今後も強いIPを再生産して、お客さまに再提示していくということをやっていきたい。それは映画かもしれないし、テレビアニメかもしれない。配信作品という可能性もある。広義の意味でのIPの再生産というのは、おそらくこの後もずっと続くと思う」(工藤局次長)
豊富なIPコンテンツを有するKADOKAWAだけに、今後もわれわれをアッと驚かせるようなアニメ作品が続々と発表されるかもしれない。
(文中一部敬称略)
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