日本は、北朝鮮に先制攻撃ができるのか?
10月9日、北朝鮮が原爆実験を行ったと宣言し、わが国にも緊張が走っています。すでに、日本を含む各国が経済制裁へ動き出しており、周辺事態法の適用も検討され始めています。
読者のみなさんも、「このまま危機が拡大して、日本に核ミサイルが飛んできたらどうしよう」と心配されているかと思います。そこで、さまざまな疑問を解き明かすべく、私は軍事の専門家に北朝鮮の核兵器とミサイルについて話を聞いてきました。
怖いのは、原爆よりも核廃棄物
専門家が指摘する主なポイントは以下の通りです。
1.原爆実験について
「核分裂があったかどうかも不明」
「もしプルトニウム爆弾が成功したとしても、ミサイルに搭載できる大きさにする技術はないのではないか(小型化の技術は、爆破より難しい)」
2.ミサイルについて
「ミサイルで怖いのは、原爆ではなく、核廃棄物を打ち込まれること(高濃度の核廃棄物は確実に存在している)」
これらのコメントを聞いて、私は「北朝鮮が核廃棄物をミサイルで打ち込んでくる可能性はある」と感じました。正直、恐怖です。ちなみに北朝鮮のミサイルの射程は以下のようになっています。
日本は先制攻撃ができるのか
北朝鮮がミサイルの打ち上げ準備を始めたとき、「わが国は自衛策として先制攻撃ができるのか?」という点について、現在開催中の国会でも議論がありました。
これに対する、久間章生防衛庁長官の答えは、「日米安保体制を機軸に、自衛隊は盾(たて)、米軍は矛(ほこ)としての役割を果たす。つまり自衛隊は敵基地攻撃をせず、米軍が攻撃を行う」といったものでした。これは1983年2月の中曽根康弘首相答弁から続く典型的な政府見解です。
過去にも同様の議論はあり、2003年の北朝鮮軍の日本海に向けての地対艦ミサイル発射に関して、小泉純一郎首相は『相手国の攻撃意図が分かったときに相手をたたく攻撃兵器を持つべきだという防衛専門家の議論は承知しているが、政府にそのような考えはない。必要最小限の専守防衛に徹し、足らざるは日米安保条約、アメリカの抑止力によって、日本の安全を確保すべきである。』と答えています。
また、2005年のBMD(弾道ミサイル防衛システム)の議論においても、『弾道ミサイルを空中で迎撃するミサイル防衛は我が国の専守防衛の考え方に沿った措置であり、ミサイル基地の攻撃は、日米安保条約の運用上から米軍にゆだねられる』との見解を政府は示しています。