トヨタ「ランクル」が圧倒的にタフな車である訳 未経験者ではドライバーの身がもたないほど

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荒れた路面でもランクルはタフだったが、乗り心地もタフ。身体中のエネルギーがどんどん吸い取られてゆくような乗り心地だった。強いキックバックを抑え込みながらのステアリング操作にも体力は奪われた。

僕はそんな状況への耐性ができていたので大丈夫だったが、未経験者は大変だった。体力を奪われただけでなく、ステアリングを握る手もやられた。腕から肩の筋肉はパンパンに張り、手首は捻挫状態になってしまった。

それもアリススプリングスまで道半ばといったところでだ。結局それ以後、ランクルは全行程を僕が運転することになってしまった。

アリススプリングスからエアーズロックまでは500キロほどだが、すべて未舗装路。100トントレーラーとは遭わなかったが、土煙とランクルとの体力勝負は変わらなかった。

エアーズロック周辺での撮影は日の出から日没まで続いたが、すばらしい映像が撮れた。エアーズロックの神秘的な姿を見ているだけで、エネルギーが湧いてくるような気がした。

身を以て体験した貴重な旅

帰路も、ちょっとした寄り道以外は往路と同じ道を走った。「往きはよいよい帰りは怖い」という諺があるが、このときは逆だった。

オーストラリアの砂漠の走行に関して、僕以外はみな初体験。それも想像を超えた過酷さと恐怖を往路で体験したから、帰路は少なくとも精神的にはかなり楽になったのだろう。

往路では誰からもでなかった笑顔が、帰路はみんなからでるようになった。

長くタフな砂漠の旅はこうして無事終わった。

シドニーに着いたランクルは出発するときと、なにも変わらなかったが、乗り手はかなり痛めつけられた。

一方のフォードも洗車をしたらきれいになったが、全体にはかなりのガタがでていた。

レンタカー屋からはなんのクレームもなかったと聞いたが、オーストラリアでは珍しいことではないのだろうか。

それにしても、世界から喝采を受けるランクルのタフさを、身を以て体験した貴重な旅だった。

(文:岡崎 宏司/自動車ジャーナリスト)

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