ナイツ塙「M-1優勝に大事なたった1つのこと」 「優勝するコンビ」「敗退するコンビ」の境界線

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――とくに2008年の頃は、ナイツが優勝するんじゃないかと言われていましたよね。

そうそう、言われていた。

――それで結構ほかのネタ番組にも出ていたので、ネタバレしていた感じもあったんでしょうか。

ネタバレ感もあったんですよ。それでそれを上回るものがなくて。僕らが『M-1』で優勝をする可能性があったとしたら、その前年の2007年の大会のときですね。そこで敗者復活で勝ち上がっていたら優勝したかもしれないです。この漫才のやり方をまったく知られていなかったですから。あのときはサンドウィッチマンがそうだったじゃないですか。まったく知られていなかったからめっちゃウケていましたよね。

大事なのは「タイミング」

――やっぱり『M-1』で勝つにはタイミングが重要なんですね。

タイミングはめちゃくちゃあるでしょうね。昨年の大会でも、僕は審査員として霜降り明星か和牛かどちらを選ぶか迷ったんですけど、霜降り明星に入れたんです。

これを例えば和牛に入れていたとしますよね。そうすると今度は、霜降り明星があれだけウケを取って勢いがあったのに優勝できなかった、ってなるじゃないですか。来年以降もずっと挑戦し続けないといけない。そうするとたぶんクオリティーは下がってくる……だとしたら一発で優勝させたほうがいいと思ったんです。

だから、和牛に対していろいろ言う人がいますけど、それだったら3年前に優勝させてあげれば良かったのに、と思うんですよ。あんなにウケていたので。だからタイミングってやっぱりあると思います。

『言い訳~関東芸人はなぜM-1で勝てないのか~』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

――優勝するにはそういう運も必要なんですね。

あと、『M-1』で結構ありがちなのが、冬の寒い時期なので、風邪を引いている人が多いんです。空気が乾燥しているから、喉がカラカラになるんですよ。そこに緊張も乗っかるから、全員がいつもの声の調子じゃないんです。それがあるから、オリンピックと一緒で『M-1』も沖縄開催にしたほうがいいんじゃないかなと思いますけどね。(笑)

――なるほど!それは本当に一理ありますよね。

一理あります、めちゃくちゃあります。あと、楽屋にウーロン茶が置いてあるんですけど、ウーロン茶って水分を持っていかれるから余計に喉が渇くんです。だから、これから『M-1』に出る若手には、加湿器と、あとはスポーツドリンクか炭酸水でのどを潤したほうがいいっていうのは言いたいですね。

ラリー遠田 作家・ライター、お笑い評論家

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らりーとおだ / Larry Tooda

主にお笑いに関する評論、執筆、インタビュー取材、コメント提供、講演、イベント企画・出演などを手がける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)など著書多数。

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