「天職を見つける人」「見逃す人」の決定的な差 仕事の「違和感」がその人のキャリアを作る

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僕の経験を振り返ってみても、たとえば、今やっている雑誌やテレビといったメディアに出てコメントをさせてもらう仕事というのは、結局のところ、誰かしら僕を引き立ててくれる人がいて、そのおかげで仕事をさせてもらっているわけです。

ただ、だからといって、キャリアのすべてを他人任せにしていいかというと、そういうわけでもない、と僕は思います。最初は誰かから命じられた仕事であっても、だんだんとキャリアを積み重ねる中で、自分はこの仕事をやっているんだ、これが一番やりたいことなんだ、と思えるように、主体的に動いていく必要がある。

そのために取り掛かる第一歩こそが、実は、自分の「やりたくないこと」を明確にしておく、ということなのだというのが、僕の考えです。

違和感がその人のキャリアを作る

「やりたいこと」よりも前に「やりたくないこと」を明確にする、というのはどういうことか。それは、日々の仕事の中で「あれ?」「これってちょっと違うんじゃない?」という違和感を大切にする、ということです。

これは「仕事に違和感を覚えたからすぐに辞めろ、転職せよ!」ということではありません。誤解しないでくださいね。むしろ、自分の中に生じた「違和感」を手掛かりに、自分自身や仕事の見識をより深めていく、ということなんです。

仕事をしていて違和感を覚えたときに、そこから逃げるのではなく、自分がなぜ違和感を覚えるのか、どうしたらそれを克服する(あるいは回避する)ことができるのか。そうやって日々の仕事に対してその人なりの適応をしていく。

もちろん、あまりにも肌が合わないとか、パワハラがひどい、と思ったら辞めていいと思います。怠けたいわけでなく、性に合わない仕事を「我慢しろ」「耐えろ」と言う気はさらさらないのです。

ただ、目の前の仕事に対する「違和感」に対して、どうすればそれを軽減できるか、どうすればそれをプラスに転換できるか、ということを考え、仕事に適応していく。そのプロセスから学べることって、すごくたくさんあるんです。

「自分には合わない」と思ったときに、どうやればその仕事をこなせるか、と工夫する。そうすると不思議なことに、段々と「自分とはどんな人間か」「社会とはどんな仕組みで回っているのか」……、ということが見えてくるんですね。

次ページ自分なりの工夫をしながら仕事をしていると…
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