パール・バックの遺作が語る彼女の人生の意味 死後40年で発見された「終わりなき探求」
40年の時を経て遺族の元に戻った原稿
あの『大地』(The Good Earth, 1931年)で知られるパール・バックの遺作である。作品は1973年に80歳で亡くなる直前に書かれ、その後原稿が紛失。終焉の地バーモント州から遠く離れたテキサス州の貸倉庫で発見され、遺族の元に戻った。当時、ニューヨーク・タイムズ紙上で大々的に報じられている。
『終わりなき探求』の序文で、失われた原稿のたどった経緯をバックの養子であるエドガー・ウォルシュが述べている。
「2012年12月に、テキサス在住の女性がフォートワースの貸倉庫に預けられていた荷物を買い取ったことを聞き知った。その時点まで倉庫の使用料の支払いはなく、法律上、倉庫会社は中身を競売にかけて処分することができたのである。
買主が中身を確認したところ、ほかのものに混じってパール・バックの小説の手書き原稿とおぼしきものが見つかった。300枚を超える原稿には、タイプ打ち原稿が添えられていた。女性は原稿を売る意向を示し、交渉の末にわれわれ家族が買い取った。
本書の原稿がいつ誰によってバーモント州のダンビーから持ち出され、どのようにテキサス州フォートワースの貸倉庫にたどりついたのかは未だ不明である」