うつになりやすい人の意外に典型的なパターン なぜ重症患者ほど「平気そう」な顔をするのか

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これまで数多くのうつ病の患者さんを診察して思うのは、「うつ病の患者さんの自己洞察力がものすごく低い」という共通点です。入院が必要なほど重症な患者さんが、「まだ大丈夫です。明日も仕事に行きます」と平気で言います。

自己洞察力が高い人であれば、「最近、仕事が忙しくて、調子が悪いなあ」と気づき、ストレスを軽症のうちにコントロールしようとするので、うつが重篤化する前に対処できます。

自己洞察力を高めるには、「アウトプット」が最も効果的です。「話す」「書く」「行動する」がアウトプットの方法ですが、とくに「書く」ことで自分自身の内面を客観的に観察できるようになるので、「書く」習慣を身に付けることをおすすめします。

自分のアイデアや考えをノートに書く、ひらめきや思いつきをメモに書く、今日のTO DO(やるべき事)を手帳に書く、1日の出来事を日記に書く、あるいは体重や今日の調子、朝起きがけの気分など、健康状態を手帳に記入するのもいいでしょう。

最も効果的な予防法は「運動」だ

日記を書いたくらいで、うつ病が予防されるの? 最近、気分が落ち込むので、日記なんか書きたくないんだけど。もっと即効性があって、すぐに効果を自覚できる方法はないの? そんな人に、「最も効果的なうつ病予防法」を教えます。

それは「運動」です。ジョギング、ウォーキング、自転車こぎ、水泳、エアロビクスなどの有酸素運動は、うつ病を予防し、不安や落ち込んだ気分を改善しストレスホルモンを正常化することが、多くの研究で示されています。

さらに、うつ病になった患者さんへの運動療法は、薬物療法と同等かそれ以上の効果があることが確かめられています。

具体的な運動時間としては、週に2~3時間(1回45分以上)の中強度(汗が流れる程度の)運動が推奨されます。しかしながら、体力がない方や、すでにうつで気力がない方は、普通のウォーキングなど軽い運動でも効果が得られます。

樺沢 紫苑 精神科医、作家

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かばさわ しおん / Shion Kabasawa

1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。2004年からシカゴの イリノイ大学に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。SNS、メールマガジン、YouTubeなどで累計40万人以上に、精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝え、「日本一、情報発信する医師」として活動している。『学びを結果に変える アウトプット大全』(サンクチュアリ出版)、『読んだら忘れない読書術』(サンマーク出版)、『脳のパフォーマンスを最大まで引き出す 神・時間術』(大和書房)など著書多数。

 

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