衝撃事実!GPIF理事長「処分」は謀略だった

160兆円を運用する年金ファンドの異常事態

しかし、理事長に彼女が相談している光景を誰かが目撃したようで、おそらくA理事も上司の高橋理事長に知れたと察知しただろう。いつからか2人に尾行のカメラマンがつけられたらしい。最初の怪文書が届いたのは2019年1月。内部通報アドレス宛てのメールで「当該職員が役職者と特別な関係にある」との内容で、総務、経理、顧問弁護士宛てだった。

この時点ではまだ「役職者」が誰かの特定はなかったが、尾行はずっと続いていたのではないか。なぜなら2019年8月に高橋理事長に、9月に年金局長宛てに届いた怪文書には、2018年12月21日に盗撮したとされる2人が麻布十番の街頭を歩いている写真が6点同封されていた。

まるで私立探偵に撮らせたように画面には年月日の表示があり、2人が寄り添って手をつないでいるかのような図柄だったが、ハグや路チューではない。赤外線カメラを使ったらしく粒子が粗い。スマホ画像ではなく、遠距離から撮ったプロの仕業、と専門家は見ている。手をつないだ部分を拡大してあるが、不自然な部分があり、加工した疑いも消えない。

ところが、この図柄だけで、経営委員会の9人は疑惑濃厚と信じたらしい。うち3人が監査委員兼任で、岩村修二(長島・大野・常松法律事務所顧問)、小宮山栄(公認会計士)、堀江貞之(元野村総研)である。調査をリードしたのは元東京地検特捜部長の岩村で、特捜らしい「予断」の塊で強引な処分の結論を導いたのだろうか。

「情実人事」ではなかった

「予断」であることの証左が、ウラ取りを怠っていること。女性が高橋理事長の出身母体である農林中金に勤めていた経歴があることは事実だが、「情実人事によってGPIFに呼び寄せた」という怪文書の記述のウラ取りを怠っている。

取材に対し、農林中金広報はGPIF関係者から照会されたことはないと返答した。農中の同僚が一般公募を彼女に教えたのであって、理事長から声をかけられた事実はないのである。その程度のことを突き止めていないのだ。しかも怪文書がなぜ書かれたか、何の目的があったかを十分追及せず、肝心のセクハラとの関連を見落とした。

年金局長宛ての怪文書には、今年9月末で任期切れのA理事とB理事の2人が去ったら、理事長のやりたい放題になるので理事長の退任を求めるとともに、それに応じなければネタを週刊誌に持ち込むという恐喝のような文言がある。

つまり、写真付き怪文書の狙いが理事2人の留任にあったことは文面からバレバレなのだ。おそらく2018年12月以降も尾行は続けられたが、決定的な写真が取れず、焦って2018年冬に撮った写真を2019年夏になって送りつけたのだろう。

怪文書を受けてこの9月20日に調査を始めた監査委は画像に引きずられ、怪文書に内部の誰が関与していたのかを調べた形跡がない。実は怪文書の主が焦っていたとおり、A理事とB理事の任期切れ退任は厚労省内でも既定路線になっており、すでに書類を作成しハンコまで押してあったという。

ところが、調査の途中で驚天動地の事態が起きた。

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