「米景気後退は不可避」といえるこれだけの理由

利下げがひとまず打ち止めならどうなるのか

では、アメリカ経済はこの先実際にリセッションに陥るのだろうか。これに関しては当然ながらさまざまな考え方や意見があるが、足元の経済データを見る限り、可能性は極めて高いと言わざるをえないところだ。

リセッションを将来的に予言する先行指標としてこの夏に一躍有名となったのが、長短金利差の逆転だ。3カ月物の短期債と10年債の利回りは夏前に逆転していたし、いちばん注目度の高い2年債と10年債の利回りも8月に入って逆転、市場もこれを受けて一時パニック的な下落を見せる場面も見られた。

ただこの金利差逆転は、実際にリセッションに陥るのがその半年から1年以上後と、かなりのタイムラグがあるうえ、過去にリセッションに陥ったときと今とでは、金利市場を取り巻く環境も大きく違っているだけに、先行きを予想するツールとしては積極的に使いづらいものがある。

ここでは、リセッションを警告してくれる経済指標として、金利差以外に何に注目すればいいかをご紹介したいと思う。

企業景況感指数は悪化が顕著に

景気に先行する経済指標としては、やはり企業景況感調査を見るのがいちばんだろう。景気は気から、企業が景気の先行きに対して自信をなくしてくると、設備投資や雇用も抑制するようになるため、いずれ経済活動全体の停滞につながるようになる。その中でもISM製造業指数は歴史も古いうえに市場への影響力も大きく、数多くある指数の中でも代表的なものということができる。

昨年8月に61.3という直近の最高を記録して以降は徐々に低下傾向を強め、ことに今年8月からは好況、不況の分かれ目とされている50の節目を割り込む状態が続いている。米中の貿易交渉に関する先行き不透明感などが、企業心理を悪化させているのは間違いないところだ。

灰色の影はリセッションの時期を示す(データ:アメリカ供給管理協会(ISM))

実際にリセッションに陥ったと判断されるのは43を割り込んだときとされており、今後はこの水準まで指数が低下を続けるのかが大きなカギを握ることになるだろう。前回、2015年10~12月期に50を割り込んだ際には、48台で何とか踏みとどまり、2016年3月には50台を回復した。今回も同様に踏みとどまることができるのか、それともさらに指数が悪化するのか、年末にかけて正念場を迎えているといっても過言ではないだろう。

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