劣等感を「バネにする人」「無駄にする人」の大差 「待つだけで行動しない人」に成功は訪れない

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劣等感を成長のエンジンに変えていくための第一歩は、自分が何に対して劣等感を覚えているのか、ということをしっかりと認識することです。実際、劣等感というのは、本人の思い込みによるところも大きいものです。自分が現実に人より劣っているのか、それともただ根拠のない、後ろ向きな思い込みにとらわれているだけなのか。

ただ漠然と「自分はダメだ」という劣等感を持っているだけで、それをちゃんと言語化し、認識できていない人というのは案外多いと思います。

まずは、自分が何に対して、どのように劣等感を覚えているのかということをはっきりと捉える。それができれば、成長へのハシゴはすでに掛けられた、といっても過言ではありません。なぜなら、劣等感のありかを突き詰めて腑分けしていけば、いずれ必ず、なんらかの具体的な対象に行き着くからです。

例えば、漠然と自分の収入に劣等感を覚えている人がいたとしても、その劣等感をつぶさに観察していけば、実は数字として表すことができるような収入額と劣等感には、さしたる関係がない、ということに気がつきます。つまり、年収が1000万円になろうと、2000万円になろうと、それだけでは劣等感は消えないのです。

劣等感のコアを見極める

もっと具体的な「誰か」あるいは「何か」に対する劣等感が、その背景に必ずある。その具体的な対象が見えてくると、自分で解決すべき課題が、まるで夜霧が晴れるように見えてくるのです。

僕の場合で言えば、僕は同じ精神科医として活動している先生方に対して劣等感を覚えることはあまりありません。もちろん、僕よりも優れたお仕事をされている先生がたくさんおられることは言うまでもなく承知しています。しかし、そこに対して劣等感を覚える、ということはあまりない。

一方で、例えばテレビでバカリズムさんや博多大吉さんのような才能あふれるタレントさんたちが、すごくセンスのいい、切れ味の鋭いコメントをされているのを見ると、無性に劣等感が刺激されることがある。

誤解のないように言っておくと、僕は芸人ではないし、彼らに勝ちたいとか、あんなふうになりたい!と思っているわけじゃありません。ただ、彼らの「センスのよさ」に、僕はどういうわけか、劣等感を覚える。つまりは、ジャンルにかかわらず「センスのよさ」というものが、おそらく僕の抱えている劣等感のコアにある、ということなんですね。

自分の劣等感のコアをはっきり捉えきれていないうちは、何をしていても、もやもやとした漠然とした劣等感に苦しめられることになります。「なぜ結果が出ないんだろう」「もっと頑張らなきゃいけないのに」「自分には才能がないんじゃないか」「チャンスを逃しているんじゃないか」……。自分が何を求めているのか。

その「芯」のところを見極められれば、そういったさまざまなノイズに迷わされることなく、自分が歩みたい方向に、舵を切ることができるようになるんです。

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