保護犬を迎え入れた漫画家が語る「ペットロス」 心を開かない「元野良犬」が救ってくれた

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2匹目が欲しいと思ったのは、オカメがいなくなった後の自分たちが不安だったからである。

心細さへの不安というより、「こんなに悲しいなら、もう犬を飼うのはやめよう」と思ってしまうんじゃないかという不安だ。そういう気持ちになってしまったら、すごく寂しい。だけど、こんなに早くそのときがくるとは思わなかった。

ギーが来たのが3月。5月くらいからオカメはご飯を食べなくなり、8月終わりに「あと1カ月」と言われ、本当に1カ月後には火葬場にいた。

すべるような半年だった。看取るんだという決心だけで1カ月の日々を運んだ感じだ。

一緒に過ごした半年の間、2匹が近くにいるのはとても貴重だった。体調不良と偏食の原因がわからず、病院通いが続いていた頃(筆者撮影)

最期が苦しくないものであってほしい…

オカメは喉にがんがあり、場所が場所なだけに治療のしようもなく、あと1カ月しか生きられないとわかったときも、「嘘だ、死なないで」とも思わなかった。奇跡も望まなかったし、それまでオカメと過ごしてきた時間やオカメにしてきたことに後悔もなかった。

今思えば、ビビることもできなかったくらい残りの時間が短かったからだろう。ただオカメの最期をきちんとやるのだ、という気持ちでいた。オカメの最期が苦しくないものであってほしい、その一心だった。

 
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