さらなる日経平均上昇を暗示する2つの指標 「企業業績はメタメタでも、株価は好調」の謎

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もっとも、製造業のデータは依然として強弱まちまちである。半導体関連セクターが「5G」「IoT」「AI」「自動運転」「省力化」といった有望なキーワードに囲まれている一方、それ以外に目を向けると、苦境にあえいでいる業種も少なくない。指標によっては目を疑うほど弱く、目下の株価上昇に疑問を投げかけるものもある。

工作機械受注は「記録的な落ち込み」に

その代表格が設備投資の先行指標とされる工作機械受注統計だ(内閣府発表の機械受注統計とは異なる)。工作機械は自動車、スマートフォンなどの金属部品(含む金型)の製造に多く用いられることから、その受注動向はこれら製品の生産に先立って増減する。つまり、工作機械受注は完成品メーカーの生産計画を映し出す鏡のような存在といえる。

目下、工作機械受注額は前年比40%弱の減少基調にあり、水準は2013年前半と同程度まで落ち込んでしまっている。国内向けと海外向けが双方とも弱く、業種別では米中貿易戦争に伴う先行き不透明感などから自動車向けがとくに弱いほか、その波及効果もあって一般機械向けや精密向けも著しい不振が続いている。

いくら「景気敏感業種」とはいえ、受注額が40%近くも減少するのはリーマンショック以来だ。機械設備投資を取り巻く環境がいかに深刻であるかがうかがえる。

ただし、注意深くみると、足元で減少ペースが和らぎつつあることに気づく。2018年初をピークとする減少局面の初期段階では、受注額が「プラス50%程度」から一気にマイナスへと転じる「垂直的」な形状であったが、2019年6月に前年比マイナス37.9%を記録するとその後は下げ止まり、9月はマイナス35.5%と「水平」に近い形状となっている。

これをもって「底打ち」と判断するのはさすがに拙速な印象だが、これまで18カ月程度のサイクルを描いてきた経緯を踏まえて予測すると、「下降トレンド再開が想像しにくい」のもまた事実である。

実際、国内企業の設備投資計画が底堅さを保つなか、ここへ来てアメリカの資本財受注が上向きつつあるなど、設備投資の復調を示唆するデータもある。

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