大事故の危険も、鉄道「運転士のミス」どう防ぐ? 自動運転でも過渡期には落とし穴がある
そしてミスの評価方法として、組織全体で「誰が悪かったのか」「誰を減点するのか」ということに注力してしまう。
こうした責任追及をするだけの組織では結果的に事故そのものの原因が解決されるわけではなく、別の状況でヒューマンエラーを発生させてしまう環境をつくる。
ミスを根絶するためには、個人の責任を追及するのではなくそのミスの背景を考えて「業務量が多く疲れてなかったか?」「錯覚しやすい状況だったのではないか?」など、なぜミスが発生したのかを究明する解決方法が求められる。そのような検討を重ねて改善することが、後々全体的な発生率の低下につなげられる。
AIや自動運転の時代に突入すると、人間による判断が求められない局面も出てくるが、それらの技術の進歩に甘えることで、必要な確認がおろそかになりヒューマンエラーが増えてしまう可能性もある。
自動運転にも落とし穴が
JR東日本が10月8日に常磐線(各停)綾瀬―取手間での自動列車運転装置(ATO)の導入を発表した。鉄道の自動運転の時代が近づいている。テクノロジーの進歩による設備の充実は安全にとってこのうえない対応策であることは言うまでもない。ところがATO運転での落とし穴もある。
例えば、ATO運転は運転士が手動で行う運転と比べると加速や減速がスムーズでないことも多く、乗り心地に大きく影響する。そのため、運転士がATOを使わず、手動で加減速を行うことも少なくない。また、運転士が手動における感覚を維持するため、月に数度は手動で運転することもある。
このような場合に、手動運転であるにもかかわらず、ATOで運転している錯覚に陥りかねない。そのため、正しく停車すべきだった場所に止まらないということも発生する。
100%の安全を自動運転にて達成するための道のりは険しいものであり、それを達成するためのまさに今がその過渡期ともいえる。個人・組織とも少しでもエラーが発生しづらい環境を醸成し、鉄道の最大の使命である「安全」をチーム全体で守らなければならない。
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