中国の実体経済、健全な調整との見方も 景気減速の兆候は、むしろ好材料?

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2月17日、今年の中国経済の見通しについては見方が分かれているが、見極める鍵は実体経済にある。写真は中国の国旗。北京で昨年4月撮影(2014年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[北京 17日 ロイター] - 今年の中国経済の見通しについては見方が分かれているが、見極める鍵は実体経済にある。電力消費量は減少し、鉄鋼価格が過去最安値に下落するなど、さまざまな指標からは投資や内需の低迷が中国経済を圧迫している状況がうかがえる。エコノミストの中には早々に今年の国内総生産(GDP)見通しを引き下げる動きもあり、この時期としては異例だ。

金利上昇と政府による倹約令も、投資を少なくとも過去10年来の低水準に押し下げる要因となっている。

投資は昨年7.7%だった中国の経済成長率の半分以上を占めており、この意味合いは大きい。専門家は、成長率が今後数カ月で7%に向けて鈍化する可能性も視野に入れているが、これは投資家のみならず政府関係者にも行き過ぎた景気減速に懸念を抱かせる数字だ。

HSBC(香港)のエコノミスト、フレデリック・ニューマン氏は「景気が底を打つにはあと数カ月かかる。状況の好転には政府のより積極的な措置が必要になるだろう」と述べた。

長らく過去の中国の2桁成長に慣れていた金融市場は弱気に傾いており、これが今年に入ってからの新興国市場の下落要因にもなった。

PMIや貿易統計など中国の経済統計は強弱まちまちで、政府による消費・サービス部門主導の経済への移行策が功を奏しているかどうかの判断は難しい。このため、今年の成長率見通しも7%から8%超という幅広いレンジに及んでいる。

アナリストは、指標に見られる相反するシグナルは旧正月休みの影響で誇張されていると指摘する。経済の実態把握には、3月の経済統計が発表される4月まで待たなければならない。

しかし実体経済には下向きの兆候が表れている。

例えば電力消費量。李克強首相は2007年に、中国経済の動向を把握するには、水増し疑惑がつきまとう「人為的な」GDPより電力消費量の方が有効との見方を示している。

国家発展改革委員会(NDRC)によると、1月の20日までの電力消費量は前年同期比2%増にとどまった。NDRC当局者も「かなりの低水準」であることを認めたが、旧正月休みと比較的温暖な気候が影響した可能性があるとしている。

健全な調整とも見方も

電力消費量以外にも慎重になる理由はある。

建物や鉄道の建設に欠かせないセメントや鉄、鉄鉱石の価格は軒並み下落。公共投資の縮小で需要が減退していることが背景だ。

アナリストは、需要後退は省や地方政府が巨額の負債を抱え、汚職や不要な支出をめぐり中央政府から締め付けを受けていることが原因とみている。

金利上昇も状況を悪化させている。中国人民銀行は最近、リスクの高い貸し出しを抑制するため短期金利を高めに誘導している。短期貸し出しの目安とされる7日物レポ金利は、12月の9%付近からは低下したものの、4.4%と依然1年前を約1%ポイント上回る水準となっている。

景気減速の兆候を受け、クレディ・スイスのDongTao氏をはじめ複数のアナリストは、第1・四半期のGDPの見通しを前年比7.7%増から7.3%増に下方修正した。これは世界的金融危機以降でもっとも低い伸びとなる。2013年第4・四半期GDPは7.7%増だった。

一方、キャピタル・エコノミクス(ロンドン)のマーク・ウィリアムス氏は、景気減速の兆候は悪材料ではなく好材料とみている。投資よりも消費拡大を優先する改革を進める過程で、秩序だった景気減速は中国にとって必要との見方だ。

同氏は「これは健全な調整で歓迎すべきだ」と述べた。

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