麒麟・田村「本が200万部売れても」辛かった理由 バスケが救った「ホームレスバブル」後の人生

「バスケじゃ仕事にならへんよ、そう言われてバスケと心中することを決めました」
お笑い芸人「麒麟」田村裕さん(40歳)は、現在バスケットボールに夢中だ。自伝『ホームレス中学生』で世間を騒がせたのは2007年。もう12年も前のことになる。
200万部以上を売り上げた『ホームレス中学生』は映画化・ドラマ化とメディアミックスされ、一躍、田村さんは“時の人”となった。印税収入は2億ともいわれ、自身の貧困ネタで大金持ちになってしまうという夢のようなサクセスストーリーを描いたのだ。

しかし、当時を振り返る田村さんの表情は決して明るくない。
「ホームレス中学生によって人生が良くも悪くも一変した。でもバスケットボールに出合えたから、今はその面白さを少しでもみんなに伝えられたらいいなと思っています」
最近はもっぱらバスケ関連の仕事がメインになりつつある。半年前に開設したYouTubeチャンネル「麒麟田村のバスケでバババーン!」など、活動の幅を広げている。芸歴20年。ブレイクを経験しながらも、それとはまったく別のところで花開こうと奮闘する、山あり谷ありの芸人人生を振り返ってもらった。
リアルな『ホームレス中学生』時代の夢
幼い頃から「芸人になりたい」という夢を持っていた田村さん。
「僕の姉がダウンタウンさんが大好きで、部活が終わって家に帰ると、いつも見ていたんで、その影響は大きかった。もう少し運動神経がよければスポーツの道に進んだかもしれないけど、ただ好きなだけでバスケは全然うまくないんですよね」
小中高とバスケ部。好きなことに熱くなる性格は、当時の空気からすると「暑苦しい奴」だっただろうと苦笑する。