貯金していても「お金の奴隷」にはならない方法 「コツコツ節約」だけでは幸せにはなれない

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「必要貯蓄額を達成していれば、何に使ってもいい」と考えるのです。

美希さんは、必要貯蓄額を達成しているならば、残りのお金はそれこそ自由に使っていい。欲しいものを買って「うれしい! また頑張ろう!!」と思えるなら、それはまさに「心を豊かにするための支出」になります。今回のお話で行けば、美希さんの場合、ブランド品はボーナス時の余裕である52万円の範囲内で、自由に買うことが可能ですよね。

この連載で何度もご紹介している「人生設計の基本公式」は、「もっと貯蓄しなさい」ということだけを示すものではありません。「決めた額(必要な額)の貯蓄ができているのなら、これだけのお金を使っても大丈夫」ということも示せる計算式なのです。

貯蓄は大切ですが、貯蓄そのものを人生の目的にするのはどうかと思います。お金は、「予算内で適切に使う」ことで価値を生むものだからです。

お金から自由になり、お金を使いこなせる上級者へ

お金を使う場合、自分が納得し、満足できるように決めることです。お金の使いみちをしっかり意識して、ムダをなくし、使うべきところには気持ちよく使えれば、満足度は上がるでしょう。お金の使い方を熟慮することは大切です。

細かで教条的な節約方法は長続きしませんし、節約自体が目的と化し、「何のために節約しているのか」わからなくなる人もいるのではないでしょうか。目指したいのは「お金から自由になること」です。

繰り返しになりますが、人生の目的は、お金を貯めることではありません。お金を使うこともまた必要です。人生をより豊かにするために、お金の使い方の上級者になりましょう。

岩城 みずほ ファイナンシャルプランナー・CFPⓇ

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いわき・みずほ / Mizuho Iwaki

特定非営利活動法人「みんなのお金のアドバイザー協会(FIWA)」副理事長。金融商品の販売によるコミッションを得ず、お客様の利益を最大限に、中立的な立場でのコンサルティングほか、講演、執筆を行っている。
慶応義塾大学卒。NHK松山放送局を経て、フリーアナウンサーとして14年間活動後、会社員を経てFPとして独立。著書に増補改訂版『人生にお金はいくら必要か』(山崎元氏と共著・東洋経済新報社)、『やってはいけない!老後の資産運用』(ビジネス社)、『「保険でお金を増やす」はリスクがいっぱい』(日本経済新聞出版社)、『結局、老後2000万円問題ってどうなったんですか?』(サンマーク出版)ほか多数。HP

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