「新型カローラ」で日本専用ボディを作った意味 グローバルモデルを国内で売らない理由とは

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カローラは2世代前の10代目から国内向けと国外向けで設計を変えており、後者については全幅が1700mmを超えていた。国内向けはこの世代から、セダンについてはアクシオというサブネームを加え(ワゴンをフィールダーと呼んだのは9代目から)、11代目ではひとクラス下のヴィッツのプラットフォームを流用した。おかげで5ナンバー枠内の全幅は守られた。

新型カローラのフロントシート(筆者撮影)

デビュー当初は機能に徹した姿が好評ではなく、売り上げが伸び悩んだが、ハイブリッド車の追加やマイナーチェンジによって状況が好転。日本自動車販売協会連合会が発表した2019年1〜6月の登録台数では、軽自動車を除くとシエンタに続く6位、月平均で約8000台を売っているから失敗作とは言えないだろう。

新型登場に伴い車種整理は行われており、アクシオは1.3リッター、フィールダーは1.8リッターのガソリンエンジンはラインナップから落とされたが、長年にわたりカローラの主力であり続けてきた1.5リッターのガソリン車は同排気量のハイブリッド車ともども健在だ。

日本のユーザーのためのクルマ

トヨタが新旧車種を併売することは何度かある。プリウスが3代目に進化した際は、ハイブリッドシステムのエンジン排気量が1.8リッターになったことから、1.5リッターの2代目をプリウスEXとして残した。このときは装備も簡略化することで価格を189万円と、直前に登場した本田技研工業のハイブリッド車インサイトと同じとした。ハイブリッド車のパイオニアとしての意地を感じた。

新型カローラツーリングの後ろ姿(筆者撮影)

5ナンバーボディ、1.5リッターエンジンのアクシオやフィールダーも併売されるのだから、とりわけ荷室容量が重視されるワゴンのツーリングについては、グローバルモデルをそのまま売ってもよさそうに思えたが、わざわざ日本専用ボディを作ってきたのは、カローラはなによりも日本のユーザーのためのクルマであるという意思の表れだろう。

将来的に新型のサイズに多くのユーザーが慣れれば、今度はグローバルモデルとの共通化という道をたどるのかもしれない。保守的な人が多いロングセラーモデルのユーザーに配慮した結果とも言えるが、かつてのトヨタを表現する言葉の典型だった、石橋を叩いて渡るというフレーズを思い出した。

森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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