スノーピークがアメリカ市場に本腰の理由

社長が米移住、「売上高500億円」目標の本気度

――スノーピークの製品は、素材や技術にこだわり、安全性、耐久性、軽量性を追求しているのがセールスポイントで、アメリカのコールマンなど同業他社の製品と比べて2〜3倍価格が高くなっています。アメリカ市場に受け入れられますか。

今は、質のよいキャンプ用品が身近な店頭に並んでいないため、選択肢がないというだけだ。1980年代半ばの日本も同じだった。日本では当社が1988年から高品質な上級者向けのキャンプ用品で市場を開拓していき、日本市場の商品の水準が上がったと思っている。

山井太(やまい とおる)/1959年新潟県生まれ。明治大学商学部を卒業後、1982年外資系商社に就職。1986年に家業であるヤマコウ(現スノーピーク)に入社、1996年に社長就任(記者撮影)

韓国と台湾は、日本と同様に高品質な道具を使ってオートキャンプを楽しむ文化を当社が輸出して市場を作った。

実は過去にも1度、アメリカでの本格展開を狙い、「ラグジュアリーなキャンプ」を訴求したことがある。2000年代半ばのことだ。

しかし、日本や韓国、台湾で受け入れられたこのコンセプトがアメリカではまったく理解してもらえなかった。世界最大級のアウトドア展示会「アウトドアリテーラーショー」に5年間ほど出展し続けたが、アメリカ人にまったく刺さらなかった。

シンプルに「たき火」で訴求していく

そのときの反省を踏まえ、今回はシンプルに「たき火」を中心として訴求する。たき火を中心に人々が集まり、コミュニティーができる、火を囲みながらのだんらんは家族、仲間との絆が深まる。このメッセージなら理解してもらえる。

【2019年9月26日15時58分追記】たき火に関する表記を一部修正いたします。

たき火を中心としたキャンプの演出としてチェアやテーブル、タープがあり、宿泊が必要であればテントも追加できる。さらに、スノーピークには火の粉が飛んできても燃えづらい難燃素材のウェア「TAKIBI」シリーズもある。

アメリカのアウトドア市場は、テント泊の登山者向けのウルトラライトな道具、キャンピングトレーラー向けの道具、低価格・低性能の初心者向け道具の3つがある。「ハイエンドな、おしゃれなファミリーキャンプ」というマーケットはまだない。そういったマーケットがアメリカでも生まれつつあると、業界の大手リテールのバイヤーや経営者から聞く。この新たな市場を開拓したい。

中期経営計画では、2018年度に8億円のアメリカ事業の売上高を2021年12億円にする。2025年に売上高500億円も夢ではないと思っている。

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