ホンダ「CR-V」の失速が映す国内販売の深刻問題 SUVブームなのに古いミニバンより売れてない
CR-Vは2016年に一度、日本市場から撤退している。代を追うごとに、アメリカ市場を意識して車両が大型化し、国内市場がそれを受け入れられなかった経緯がある。代わりに2013年からは、初代CR-Vとほぼ同じサイズのSUV「ヴェゼル」の販売に注力していた。
復活した現行CR-Vのボディサイズは全長4605×全幅1855×全高1680~1690mm。日本で標準的な機械式駐車場は全幅1850mm以内という制限が多く、狭い日本の道では確かにちょっと持て余す。日本ではメインユーザーとなるはずの都会の街乗り客層を逃している。
だからといって、ボディサイズが大きいだけでは、いまいち販売が振るわない言い訳にはなりにくい。競合のRAV4も全長4600×全幅1855×全高1685mmで、CR-Vとほぼ同じ大きさだからだ。
実はRAV4も、CR-Vとよく似た歴史を持つ。1994年のデビュー当時は、日本で受け入れられやすい5ナンバーサイズだったが、次第にアメリカ向けに大型化が進んだ。2016年から国内撤退していたが、今年4月に復活。発売から4カ月で約2万6000台を販売した。
トヨタの国内販売店数はホンダの2倍以上あるとしても、コンセプトの似たRAV4との差はそれ以上だ。
深刻なホンダの商品競争力、販売力、ブランド力の低下
そもそもSUVがブームになっている日本市場において目新しさは十分な現行CR-Vが、現行モデルの発売からずいぶん時間が経ち、ミニバンブームがとっくに終わっている自社のオデッセイ、トヨタのエスティマよりも売れていないことが深刻な問題だろう。それは中高価格帯の乗用車カテゴリーにおける、ホンダの商品競争力、販売力、ブランド力の低下を意味するからだ。
まずは商品競争力。複数のモータージャーナリストが「フロントマスクをはじめデザインが地味」と評価するものの、走行性能や燃費、パッケージングに優れ、安全装備などは充実しており、総合的な中身は競合車種に引けを取らない。最大の要因は価格だ。現行CR-Vに8カ月遅れて発売となったRAV4の車両本体価格は260万円から設定されており、手頃な価格で消費者の心をつかんでいる。
一方、現行CR-Vは車両本体価格の最低ラインを先代から75万円引き上げ、323万円からと設定。これが割高と受け止められた。ホンダ側は、カーナビや「ホンダセンシング」などの安全装備の標準搭載、追加した3列シートのオプションなどで、ファミリー層に訴求できると考えていたが、そのイメージは浸透していない。
むしろ「大きくて乗りにくい」「カーナビが標準搭載になったせいで高い」という印象がついており、他の中型SUV競合車種と比較するうえで、不利な状態だ。
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