このバイデン、ウォーレン両氏のどちらをオバマ氏は支持するのか。ウォーレン氏は、バイデン氏とは比べものにならないほど高潔な人物だが、オバマケアなどには批判的だった。オバマ氏寄りのメディアにとっては、ウォーレン氏支持に尻込みせざるをえないだろう。
アメリカのメディアは、自身がキングメーカーになりたがっているフシがある。いまだ国民的人気の高いオバマ氏がバイデン氏を支持すれば、バイデン氏の人種・女性偏見や金融疑惑にもかかわらず、反トランプの立場からメディアもバイデン氏を支持せざるをえなくなる。
トランプ氏も、2020年の大統領選で再選を果たし、その後キングメーカーになるというのが本音である。マイク・ポンペオ国務長官が将来の大統領選への出馬に含みを持たせているため、自らの後継者として、マイク・ペンス副大統領を支持するかについて明言を避けている。
もし2020年の大統領選でトランプ氏が敗れれば、民主党は、退任後のトランプ氏を刑事訴追することを狙っていると言われている。トランプ氏がキングメーカーになりたいのは、そうした事態を避けるためだ。
「学生ローン帳消し」公約でウォーレン支持が拡大
メディア人気がいま一つのウォーレン候補に対する支持は、カリフォルニア州だけでなく、全米で拡大している。そのテコになっているのは、ウォーレン候補の「学生ローン帳消し」公約である。
この学生債務救済法案は数年前にも議会で審議され、当時大統領だったオバマ氏も全面的に支持していた。つまり、オバマ氏にとって、ウォーレン氏が候補者になったほうがプラスになる。疑惑を抱えているバイデン氏だと、「オバマ神話」がダメージを受ける。
ウォ-レン氏の学生ローン帳消し案は、住宅購入者だけを特別扱いして、住宅ローンを帳消しにする政策と変わりはない。民主党候補の1人であるピート・ブーテジェッジ市長(インディアナ州)は、ウォーレン案は正当性に欠けると批判するなど、エリート優遇批判が出ている。
とはいえ、バイデン氏と比べると、ウォーレン氏は高潔さではるかに勝っており、民主党の大統領候補者になるとみるのが自然であろう。そのときには、トランプ対ウォーレンの一騎打ちとなる。
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