日本郵便「社員が社長にぶつけた不満」の全記録 返答はノルマ肯定、お付き合い容認、自爆放置

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横山社長は、「(局長たちを)ちゃんと指導しますけど、あなたも局長を突き上げてください。それでもダメなら電話をちょうだい。私が強烈な指導をしますから」と語気を強めた。

「自爆営業はかなり多いんだろうな」

営業ノルマを達成するために社員や社員の家族・親族が買う「自爆営業」。東京23区内の郵便局員から「社員は実需のあるなしにかかわらず、営業ノルマのある物販を当たり前のように買っている。社員がどのくらい買っているかを把握しているか」と質問すると、横山社長は「ごめん、私はわかっていない」と断ったうえで、「しかし、(社長就任から)この3年間で何となくかなり多いんだろうなという気はしている」とした。

そのうえで、「もちろん愛社精神で実需に基づいて買うのはいいことだと思うが、それを超えるものは異常だと思う。物販のビジネスモデルは合っているのか、他社やライバルと比べてどんな強みや弱みがあるのか。(自爆営業は)かなりのレート(比率)に上るということは認識しています。だから手をつけていきます」と回答した。

社員に自爆営業を事実上強いておき、それを認識しておきながら放置していた責任は軽くないだろう。

別の局員は退職者の多さを指摘した。「新人が毎年140〜150人入ってくるが、10年後に10人しか残っていない。数字(=営業ノルマ)に追われて、結果が出ないから退職していった人がたくさんいる」。

横山社長は「保険会社に転職したの?」と聞き、社員が「まったく別の仕事です。辞めてよかったと皆、言っている」と答えると、

「(辞めた人は)損したね。これからいい会社になるよ。(今でも)異次元の業績になっている」と横山社長は強気の姿勢を崩さなかった。

北関東のほかの郵便局員は、「8年前に入社したが、7人いた同期で残っているのは私ともう1人の2人。残っている1人も先月から休んでいる」と訴えた。

横山社長は「『こいつ、いいな』というのが辞めている?」と逆質問。この郵便局員は「いい人材でも目標が達成できなくて辞めている。同じ職場の人間としてお互いに長くやっていきたいと思っているがそうなっていない。人材確保にもっとカネをかけてほしい」と回答した。

横山社長は「人件費をどうするかはいろんな変数要因があるが、意欲のある人間に長く愛社精神を持ってやっていただきたいというのがあるので、採用の仕方も見直しさせていきます。仕事の厳しさに応じた報酬体系にするのが企業として当たり前」とした。

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