最大手が本腰!熾烈なクルーズ客争奪戦 日本人客開拓へ、切り札は"あの"大女優

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特別メニューは、テンダーロイン・フィレ肉のステーキなど6品で構成される(撮影:梅谷秀司)

さらに、まだクルーズに馴染みのない日本人を広く取り込むため、広告宣伝には日本人にファンの多い女優オードリー・ヘップバーンを起用した。

船上では、オードリーにちなんだ特別メニュー(1989年に彼女が名付け親となった客船に乗った際、振る舞われた料理を再現)も提供される。

また、「クルーズ旅行は高額という固定観念を払拭するため、価格もリーズナブルに設定した」(スワーツ社長)という。たとえば、サン・プリンセスの場合、4泊5日で6万9000円から(諸税除く)となっている。

「クルーズは高齢化社会にマッチ」

プリンセス・クルーズが昨年12月に行ったアンケート調査では、旅行に際して最も負担になるのは「荷造りと荷物の持ち運び」という回答が6割を超えた。また、「せっかく旅行に行くなら、十分な日数を取り、できるだけ多くの場所を訪れたいと思うか」との質問には8割以上が「はい」と答えた。一度に多くの場所を訪れたいが、移動の手間がネックになっていることが浮き彫りになった。

一方、「日本発着のクルーズ旅行に行ってみたいと思うか」との問いには、半数以上が「行ってみたい」と興味を示した。カーニバル・ジャパンの木島榮子社長は「快適で安全なクルーズは、高齢化社会に合った旅行形態」と訴える。

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スワーツ社長は日本人客の取り込みに自信を見せる(撮影:梅谷秀司)

プリンセス社のスワーツ社長も「先進国では人口の3%程度がクルーズを利用しているが、日本はまだ1%にも満たない。新しい発見や体験が好きな日本人に多様な商品を提供したい」と、日本市場の潜在需要に期待する。

近畿日本ツーリストやエイチ・アイ・エスなど国内大手旅行会社も、今年はクルーズのチャーター便数を拡充する計画。成長市場を巡る「洋上の争奪戦」はまだまだヒートアップしそうだ。

山川 清弘 「会社四季報オンライン」編集部 編集委員

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やまかわ・きよひろ / Kiyohiro Yamakawa

1967年、東京都生まれ。91年、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。東洋経済新報社に入社後、記者として放送、ゼネコン、銀行、コンビニ、旅行など担当。98~99年、英オックスフォード大学に留学(ロイター・フェロー)。『会社四季報プロ500』編集長、『会社四季報』副編集長、『週刊東洋経済プラス』編集長などを経て現職。日本証券アナリスト協会認定アナリスト、日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト。著書に『世界のメディア王 マードックの謎』(今井澂氏との共著、東洋経済新報社)、『ホテル御三家 帝国ホテル、オークラ、ニューオータニ』(幻冬舎新書)など。

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