規模拡大より「やりたい気持ち」を重視する理由 内田和成×遠山正道「好きになる組織」論

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遠山:そうです。ただし、大きくなることが悪だとは思っていません。大きくなる必然性があれば、そうすればいい。

ちなみに、「アートスティッカー」というアート支援アプリや、「ザ・チェーンミュージアム」は大きくなったほうがいいので、はじめて資本家を入れました。いわゆる資本主義的な枠組みでやるほうが適していますから。

内田:なるほど。スケールが効くビジネスについては、普通のビジネスパーソンの考えるアプローチに近くなるわけですね。

サステナビリティーは目標ではなく、結果である

内田:最後の質問ですが、いつまで、自分が発案者になるやり方でやり続けるのか。別の言い方をすると、自分が死んだら、この企業体は終わりでいいと思うのか。

逆に、自分の名は「昔、遠山さんという人がこの企業グループを作ったんですよ」と残る程度で、勝手に存続する組織になってほしいのか。どちらに近いのでしょうか。

遠山:今はブランドごとに責任者がいて、「自分がやらないと、そのブランドがつぶれる」と思いながらやってくれているので、私がいてもいなくても、1個1個自立していけるのがいいと思います。

たとえとして適切かどうかわかりませんが、役者の寿命は人が決めるものですよね。役者本人が死ぬまで舞台に立ちたいと思っていても、お客さんからお声がかからないのに、舞台に立ち続けるのは醜悪なだけ。

ずっと継続することに価値があるとは思わないのです。結果として続いたらいいし、誰かが引き継げばいいけれども、価値がないなら潰れればいい。そのときは解散して、またそれぞれが自分のやり方を見つければいいと思います。

内田:なるほどね。今回はいろいろとお話を伺う中で、好きなことをビジネスにするときに、私は「どうしたら儲かるか」と金から考えるのですが、遠山さんのように「やりたいことを成り立たせるために、どうすればいいか」とセーフティーネット的に考えるやり方も確かにあることがわかりました。

内田 和成 コンサルタント

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うちだ かずなり / Kazunari Uchida

東京大学工学部卒業。慶應義塾大学経営学修士(MBA)。日本航空を経て、1985年ボストン コンサルティング グループ(BCG)入社。2000年6月から2004年12月までBCG日本代表、2009年12月までシニア・アドバイザーを務める。2006年には「世界の有力コンサルタント25人」(アメリカ『コンサルティング・マガジン』)に選出された。2006年より2022年まで早稲田大学教授。著書に『仮説思考』『論点思考』『右脳思考』(以上、東洋経済新報社)などが多数。

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遠山 正道 株式会社スマイルズ代表取締役社長

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とおやま まさみち / Masamichi Toyama

1962年東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、1985年三菱商事株式会社入社。2000年株式会社スマイルズを設立、代表取締役社長に就任。現在、「Soup Stock Tokyo」のほか、ネクタイ専門店「giraffe」、セレクトリサイクルショップ「PASS THE BATON」、ファミリーレストラン「100本のスプーン」、コンテンポラリーフード&リカー「PAVILION」、海苔弁専門店「刷毛じょうゆ 海苔弁山登り」を展開。「生活価値の拡充」を企業理念に掲げ、既成概念や業界の枠にとらわれず、現代の新しい生活の在り方を提案している。著書に『成功することを決めた』(新潮文庫)、『やりたいことをやるというビジネスモデル-PASS THE BATONの軌跡』(弘文堂)がある。

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