規模拡大より「やりたい気持ち」を重視する理由 内田和成×遠山正道「好きになる組織」論
遠山:そうです。ただし、大きくなることが悪だとは思っていません。大きくなる必然性があれば、そうすればいい。
ちなみに、「アートスティッカー」というアート支援アプリや、「ザ・チェーンミュージアム」は大きくなったほうがいいので、はじめて資本家を入れました。いわゆる資本主義的な枠組みでやるほうが適していますから。
内田:なるほど。スケールが効くビジネスについては、普通のビジネスパーソンの考えるアプローチに近くなるわけですね。
サステナビリティーは目標ではなく、結果である
内田:最後の質問ですが、いつまで、自分が発案者になるやり方でやり続けるのか。別の言い方をすると、自分が死んだら、この企業体は終わりでいいと思うのか。
逆に、自分の名は「昔、遠山さんという人がこの企業グループを作ったんですよ」と残る程度で、勝手に存続する組織になってほしいのか。どちらに近いのでしょうか。
遠山:今はブランドごとに責任者がいて、「自分がやらないと、そのブランドがつぶれる」と思いながらやってくれているので、私がいてもいなくても、1個1個自立していけるのがいいと思います。
たとえとして適切かどうかわかりませんが、役者の寿命は人が決めるものですよね。役者本人が死ぬまで舞台に立ちたいと思っていても、お客さんからお声がかからないのに、舞台に立ち続けるのは醜悪なだけ。
ずっと継続することに価値があるとは思わないのです。結果として続いたらいいし、誰かが引き継げばいいけれども、価値がないなら潰れればいい。そのときは解散して、またそれぞれが自分のやり方を見つければいいと思います。
内田:なるほどね。今回はいろいろとお話を伺う中で、好きなことをビジネスにするときに、私は「どうしたら儲かるか」と金から考えるのですが、遠山さんのように「やりたいことを成り立たせるために、どうすればいいか」とセーフティーネット的に考えるやり方も確かにあることがわかりました。
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